さて、この記事の冒頭で「『ALL BLACK EDITION』といったデザイン志向のモデルを展開するなど、VAIOブランドとしての“心意気”はいまだ健在」と述べましたが、今回評価したのは、そのALL BLACK EDITIONからさらにデザイン的に尖っている「無刻印ブラックキーボード搭載」モデルです。
Fnキーも特殊キーも、すべてが闇のなか
ALL BLACK EDITIONは、ボディ全身を黒で統一するために、USBの業界団体が推奨している「コネクタの青」も黒く塗りつぶし、天板に掲げているVAIOのロゴも、そしてヒンジ部分も金属メッキの質感を持たせた「光沢ブラック」としています。が、「全身黒」を突き詰めたいユーザーのためにキートップの刻印もなくしてしまったモデルも用意したのでした。
よくパワーユーザー御用達のキーボードベンダーが「タッチタイピングなんか当然の俺」をアピールできる無刻印キートップモデルを投入していたりしますが、VAIOの無刻印キーボードモデルは、(そういう需要もあるとは思いますが)あくまでもデザイン的な理由から登場したというのがVAIO開発陣の意見です。
無刻印でイケたところ、イケなかったところ
実を言うと無刻印キーボードを使うのは初めてかつ、評価機のキーボードレイアウトがASCII配列(英語配列)でもあったため若干不安だったのですが、普段からASCII配列キーボードを使っていたおかげか、ホームポジションさえ把握できていれば、アルファベットキーやReturn、スペース、BackSpace、Delete、Control、Altなど標準的なキーは、「体が覚えている」範囲でタイプできることがわかりました。これは、キーピッチが19mmと、デスクトップPC用キーボードとほぼ同じなおかげもあると思われます。
また、Fnキーに割り当ててある機能、たとえば使う機会が多いディスプレイ輝度の増減も、多くのキーボードでおおよその場所が共通しているので、こちらも数回の試行錯誤で使いこなせるようになりました。
ただし、刻印のあるキーボードと同じ作業効率というわけにはいかなかったことは正直に告白しておきましょう。特に、画面に表示できないパスワードの入力は難しいものがありました。とはいえ、作業効率よりモバイルノートPCとしてのデザインを優先する場合、そして、ALL BLACK EDITIONのコンセプトを完全なものとしたいユーザーならば、無刻印キーボードの選択は十分に考察する価値があるといえるでしょう。