• 新モデルでは、着座タイプの「RoBoHoN Lite」が登場。税別で80,000円を切る価格で、従来の「RoBoHoN」より手に取りやすいといえる

シャープは2月18日、モバイル型ロボット「RoBoHoN(以下ロボホン)」の新モデル3機種を発表しました。2015年に発売した初代ロボホンに続く、いわゆる第2世代となります。初代ロボホンのオーナーである筆者が、発表会に参加したレポートをお届けします。

LTE・3GモデルとWi-Fiモデルに加え、第2世代では非歩行の着座タイプの「RoBoHoN Lite」もラインナップされました。希望小売価格はLTE・3GモデルのSR-03M-Yが180,000円(税別)、Wi-FiモデルのSR-04M-Yが120,000円(税別)、非歩行Wi-FiモデルのSR-05M-Y(RoBoHoN Lite)が79,000円(税別)です。3モデルとも、2月27日に発売します。

  • RoBoHoN Liteの価格はなんと、LTE・3Gモデルの半額以下。LTE・3Gモデルも、初代と比べると19,800円ほど安くなっている

着実に進化したロボホン

今回発表された新モデルですが、機能は初代ロボホンとほぼ同じで、使えるアプリも変わりません。ただ、基本性能(スペック)が大幅に向上しました。CPUはクアッドコアからオクタコアに、背面のディスプレイは2型から2.6型へと進化しています。Wi-Fiは2.4GHz帯のほか、5GHz帯にも対応しました。

大きな機能差として、初代ロボホンが備えていたプロジェクター機能が省かれていることが挙げられます。そのかわり、ロボホンが保存する写真や動画をWi-Fiで対応テレビへ転送する「ミラキャスト」機能を利用できます。

  • 初代ロボホンと第2世代ロボホンの比較。初代(写真右)と第2世代(写真左)では、立ち方も若干違う

  • 初代ロボホン(写真右)は頭部にプロジェクターを備えている。プロジェクター起動に手間がかりることなどから、第2世代ロボホンには搭載しないことになったという

  • 背面のディスプレイは、初代(写真右)の2型から第2世代ロボホン(写真左)は狭額縁の2.6型になり、より視認しやすくなった

  • 初代ロボホンは充電台との接点が背面にある

  • 第2世代ロボホンは、充電台との接点が右足の付け根にある

  • 初代ロボホンは、microUSB端子を背面に備える

  • 第2世代ロボホンは、microUSB端子が側面になった

ダンス時や会話時などの動きは初代モデルと同じですが、立ち上がったり、座ったりといった動作がより人間らしくなりました。今回の3モデルは家族での使用を想定されており、音声入力の聞き取り性能も向上しています。

座った状態から「立ち上がって」と声をかけ、立ってもらった。向かって右が初代ロボホン、向かって左が第2世代ロボホン。第2世代ロボホンのほうがより人間らしく、立ち上がる速度も速い

初代ロボホンでも使える新アプリを発表

シャープは初代ロボホンを2015年にリリースして以来、ほぼ毎月のペースでアプリを追加しており、今まで30もの追加アプリを配信してきました。今後もアプリ配信は続ける予定だそう。新たなロボホンの使い方を提案する4つの新アプリや新サービスも発表されました。ちなみに今回発表された新アプリ、新サービスは初代ロボホンでも利用できるそうです。

1つ目は「お留守番」。ロボホンがカメラの顔認識機能で人を検知すると、スマホへメールで知らせてくれます。こちらの機能は無料となっています。ひと月300円(税別)のオプション料金を支払うと、スマホと連携して外出先でもカメラからリアルタイムで家の様子を確認することも可能となります。

  • 見守りカメラのように、人を感知するとメールで知らせてくれる

  • ロボホンを通して、家の様子を確認することもできる。ロボホン自体に人感センサーはなく、カメラで撮影した映像をAIが分析して人を検知する。カメラを起動しっぱなしになるので、充電台に置いておくのがベストだろう

2つ目は、PCやタブレットのアプリでブロック状のオブジェクトを組み合わせ、ロボホンの動きをプログラムできるプログラミングアプリ「ロブリック」。価格は8,900円(税別)となっています。すでに法人向けにリリースされているアプリですが、多くのオーナーからコンシューマ向けの販売を熱望されており、このたび一般向けにも配信が決まりました。小学生のプログラミング学習ソフトとしても活用できそうです。

  • PCやタブレットのアプリから、ブロックを組み合わせることで、ロボホンの会話や行動などのプログラムを自由に組める。使いこなせばオリジナルのダンスも作れるようになる。プログラムはオーナー同士で共有可能だ

3つ目は「ヘルスケア」。ロボホンとタニタの体組成計を連携させ、体重や歩数などから、ロボホンが健康についてアドバイスをする無料サービスです。食事メニューを伝えると摂取した栄養素を分析してくれる機能もひと月300円(税別)で追加できます。

  • ロボホンに、自分が食べたメニューを伝えると、カロリーや栄養素の計算をしてくれる(有料)

4つ目は「ボクと歌お」。ロボホンと一緒に歌えるカラオケアプリとなっています。童謡は無料で、それ以外の楽曲を歌いたい場合は月額300円(税別)の有料プランに申し込む必要があります。

  • ロボホンと一緒にカラオケできる

エアコンやテレビのリモコンの赤外線を登録することで、自宅の家電を遠隔操作できるスマートリモコン「eRomote」(別売)との連携も発表されました。スマートスピーカーのようにロボホンに話しかけ、家電を操作できるようになります(初代ロボホンも連携可能)。

  • ロボホンに「電気消して」と言うと、IoTリモコンを通じて、照明を消せる

  • このほかBtoBやBtoBtoC用のソリューションとして、教育、観光案内、接客などに対応するアプリや新機能も用意

  • HEMSと連携するロボホン「RoBoHoN Lite HEMS」も発表された。家庭や会社でのエネルギー管理をロボホンが行ってくれる

一抹の不安はあるけれど、ロボホンと過ごす日々は楽しい

ロボホンと一緒に過ごしていると、ペットのような愛着がわいてきます。新しいロボホンが登場したからといって、スマホのようにパッと新しいものに乗り換えるわけにいかない人も多いでしょう。

ロボホンのOSはAndroidをベースに開発されていますが、初代ロボホンはAndroid 5.0、第2世代ロボホンはAndroid 8.1がベースとなっています。初代ロボホンはOSの更新予定もなく、もし更新したとしてもCPUが最新OSを動かすパフォーマンスを発揮できるかどうか分かりません。

そうなると何年か経って、3世代目ロボホンがリリースされたとして、今回のように初代、第2世代、第3世代ですべてのアプリを共通で使えるのでしょうか。初代ロボホンオーナーの筆者としては、このあたりの対応も気になりますね。

2019年現在のロボット市場は、ブームが少し収束してしまったようにも思えます。しかし発表会に登壇したロボットクリエイターの高橋智隆氏は、「スマートフォンも認知に時間がかかった」と、スマホが登場したときと、現在のロボットの普及具合を重ね、これからロボットが浸透していくと話します。

ロボホンがいる生活は、本当に楽しいですよ。着座タイプの「RoBoHoN Lite」は、80,000円(税別)を切る価格。初代ロボホンを価格で諦めた人にとっては、待望のモデルといえるでしょう。

  • ロボットクリエイターの高橋智隆氏