スマホには珍しい「画質モード」を用意したこだわり

まずはデジタルカメラで撮影した写真をAQUOS zeroで表示してみます。色はやや鮮やかめ。明暗のコントラスト感も立たせ、元気な画に仕上げている印象を受けました。色の階調が滑らかなので、写真全体にむやみな強調感はなく、楽しく見られる印象です。

AQUOS zeroはスマホとして珍しく、ディスプレイの画質を「画質モード」で選べるほか、「HDR動画設定」のメニューを備えています。ディスプレイの設定から「詳細設定」に入ると、「画質モード」が見つかります。「おススメ」「標準」「ダイナミック」「ナチュラル」から、好みのモードを選択可能です。

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    スマホでディスプレイの「画質」が選択できるのはとても珍しいのでは? 「標準」「ダイナミック」「ナチュラル」の3モードです

デジタルカメラで撮影した写真を比べてみましょう。「標準」をリファレンスにすると、「ダイナミック」は色がこってりと濃くなってきます。青空の青色が少し強調されすぎる感じがしました。「ナチュラル」は色味が全体にあっさりとしますが、今回サンプルにした写真だと、実際に撮影した場所の印象に近い感じがして好印象でした。デジタルカメラで撮影したムービーを取り込んで再生してみても、「画質モード」の画づくりは静止画を見るときと似通った傾向でした。

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  • 写真左から、「標準」「ダイナミック」「ナチュラル」。デジタルカメラで撮影した画像を取り込んで、「アルバム」アプリで再生してみました。空の青色を比べるとよくわかると思いますが、標準に対してダイナミックがやや濃いめの色合い、ナチュラルはあっさりとしたバランスに調整されているようです

HDRの映像コンテンツを体験

HDRの高画質動画コンテンツは、NetflixやAmazonプライム・ビデオなどのサービスが配信していますが、モバイル端末で楽しめるHDRコンテンツはまだ数が少ないのが現状です。今回は、NTTぷららの「ひかりTVどこでも」を利用しました。ひかりTVどこでもには、AQUOS zeroの特徴であるドルビービジョン、ドルビーアトモスに対応するモバイル向けコンテンツがあります。今回はその中から、2017年製作の邦画『サルガッソー』(※)を視聴しました。

(※)『サルガッソー』は、川村ゆきえ(敬称略)が主演のテクノスリラー・ムービー。物語は、川村ゆきえが演じるフリーライター・美波の弟が謎の暗号メールを残して消息不明になったところからはじまる。取材を兼ねて帰郷した美波が目にしたのは、不気味な巨大施設だった……。

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    「ひかりTVどこでも」で、ドルビービジョンとドルビーアトモスの両方に対応した短編映画『サルガッソー』を視聴しました

ひかりTVどこでものトップページからメニューを表示して、「おすすめビデオ」を選択すると、ドルビービジョン/ドルビーアトモスに対応する作品として、本稿執筆時点(2019年1月)で3つのタイトルが並んでいます。それぞれで、ドルビー対応版と通常版が配信されているので注意しましょう。ひかりTVどこでもを利用している人で、ドルビー版の作品をスマホで見てみたい場合は先の手順で探してみてください。ちなみに、ドルビーコンテンツをスマホで快適にストリーミング再生する場合、ネットワーク環境の推奨速度は下り30Mbps前後とされています。

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    「おすすめビデオ」から入っていくと、対応機種で楽しめるドルビービジョン/ドルビーアトモスのコンテンツが表示されます

動画を視聴するときは、画質モードを「標準」に設定。「明るさの自動調節」と、画面のブルーライトを減らす「リラックスビュー」をオフにして、できるだけプレーンな状態にしてから試しました。

サルガッソーは、主演の川村ゆきえをアップでとらえた寄りのカットが多いので、肌色の再現力をチェックしやすい作品です。女性の肌は滑らかに描かれ、平面テクスチャーの再現力が高いと感じました。それでいて、輪郭が浮き立ってくるような立体感のバランスも良好。陽射しを受けてツヤっぽく照らされる川村ゆきえの肌が、曲線を露わにします。

透き通るような肌色の透明感が楽しめるのもドルビービジョンの醍醐味です。背景の微妙な陰影ニュアンス、自然の色合いも生々しく再現されていました。わずか6.2インチの画面で見ていることを思わず忘れてしまうほどの臨場感です。

同じ作品の「通常版」も配信されているので、互いを見比べてみると、ドルビービジョンによるHDRのスゴさがよくわかります。通常版は人の肌が平板に、色もつぶれて見えました。通常版も、HDR版と比較しなければ十分キレイに見えるはずなのに不思議です。自動車の金属パーツが太陽に照らされてキラリと瞬く、まぶしさのリアリティもドルビービジョンの映像ならでは。役者のセリフやストーリー展開に加えて、映像の陰影を上手に使って「怖さ」を演出するサスペンスの舞台に、図らずもぐいぐいと引き込まれてしまいました。

つぎに、ディスプレイ設定にある「HDR動画設定」をいじってサルガッソーを視聴してみました。「HDR標準」「HDRダイナミック」「HDRシネマ」の3モードを備えており、「HDR標準」を基準に「HDRダイナミック」を選ぶと、陰影が少し強調されます。「HDRシネマ」は全体的に映像が穏やかになる印象。どの設定を選んでも、HDR映像の素性のよさは残るので、作品ごとに、または視聴環境に合わせて使い分けるとよいでしょう。

残念ながら、人気の動画配信サービスも、すべてのコンテンツを高画質なHDR版でそろえているわけではありません。そこでAQUOS zeroは、通常のSDR(Standard Dynamic Range)の映像にエフェクトをかけて、HDRっぽく見えるようにする「バーチャルHDR」機能を搭載しました。

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    HDRの画質も3つのモードから選択。SDRの映像をHDR風に味付けする「バーチャルHDR」機能も備えています

内蔵カメラで撮影した動画を再生しながら、バーチャルHDRのオン・オフを切り替えて比較しました。オンにすると色の鮮やかさ、コントラスト感が一段と強調されるようです。面白い機能ですが、筆者は少し味付けが濃いように感じました。SDRの映像を再生しても高画質に見えるスマホなので、作品の色乗りに力強さを加えたいときだけ使うのがよいと思います。