米Appleは1月22日(現地時間)、米小売りチェーン大手Target、米ファストフード大手「Taco Bell」などがモバイル決済サービス「Apple Pay」をサポートすることを発表した。

Targetはかつて、Apple Payの普及に取り組むAppleに対抗する抵抗勢力だった。Walmartなどと共に「Merchant Customer Exchange (MCX)」という業界団体を設立し、「CurrentC」というモバイル決済サービスの立ち上げを支援した。

CurrentCを利用するには、一部のクレジットカード/デビットカード利用者を除いて銀行口座にリンクさせる必要があり、また小売店側が買い物データを収集できる仕組みになっていた。モバイル決済においてクレジットカード決済の手数料を支払うのを回避し、そしてApple Payが普及することで買い物データへのアクセスがブロックされるのを防ぐのが狙いと見られた。エンドユーザーのための支払いソリューションを目指したApple Payに対して、小売店による小売店のためのモバイル決済サービスと呼べるCurrentCには消費者から批判の声が挙がり、収集データの利用方法に関する不透明さが指摘され、試験プログラム中に利用者の情報が流出するトラブルに見舞われたこともあって普及に至らなかった。WalmartはまだApple Payをサポートしてないが、Targetが対応したのは、スマートフォンを用いたモバイル決済サービスのあり方を巡る争いの決着を思わせる。

  • TargetでApple Pay

    近年Amazon対策として実店舗を活かしたオンライン販売強化を展開、業績を伸ばしているTarget

Targetは数週間中に米国の1,850店舗でApple Payを使用できるようにする。また、Taco Bellは7,000店舗以上にロールアウトする計画だ。他にもスーパーマーケットチェーンHy-Vee (245店舗以上)、コンビニチェーンSpeedway (約3,000カ所)、ファストフードチェーンのJack in the Box (2,200店舗)が新たにApple Payのサポートに乗り出した。それらの追加によって、米国の小売り業者トップ100の74社、小売店舗の65%でApple Payが使用できるようになるという。