--2019年はレッドハットにとって、どんな1年になりますか--

望月氏: 一言で言えば、これまでの取り組み成果を、より多くのお客様に対し、いかに拡張していくかということになります。そこには、3つの取り組みがあります。

1つ目は、より多くの業種のお客様にオープンソースの価値を広げるための体制強化です。具体的には、これまでは営業、セールスエンジニア、マーケティングといったそれぞれの役割を持った組織が連携する体制だったものを、2019年からは、業種、業界別にワンチームの組織体制を作り、お客様に向けて、それぞれの機能が一丸となって、お客様のデジタルトランスフォーメーションを支援する組織へと移行します。

業界固有の課題を浮き彫りにし、それを解決するために、業界知識に精通した人材も採用していきます。チームとして、お客様に、高い付加価値を持った提案をしていく体制を、より強化することになります。もちろん、われわれがシステムインテグレーターになるつもりはありません。われわれが持つオープンソースの価値を生かしながら、デジタルトランスフォーメーションを具現化するイネーブラーとなることが、レッドハットが持つユニークな特徴です。このユニークな特徴をもっと生かしていきたいですね。

2つ目は、Red Hat Open Innovation Labsの拡大です。これによって、より多くのお客様に対し、価値を提供することができるようになります。人員を増やしながら、お客様の現場に出向き、そこに常駐して価値を提供するといったことにも、積極的に取り組んでいきます。

そして、3つ目は、パートナーとの協業強化です。オープンハイブリッドクラウドのコンセプトの下、いくつかのパートナーとは具体的なエコシステムを構築できていますが、これをもっと多くのパートナーと構築できるようにしていきます。デジタルトランスフォーメーションには、オープンソースが不可欠といわれる中で、多くのパートナーと共に、オープンソースの価値を提供できる仕組みを作り上げたいですね。

これらの取り組みについては、2019年2月までに、具体的な数値目標を決めたいとと考えていますが、大切なのは、レッドハットが、オープンハイブリッドクラウドの提案に、どれだけの時間を割き、どれだけの価値を提供できるのか、ということです。これを数値という観点で示すのであれば、どけだけの案件を醸成できるのか、そして、醸成した案件のなかで、オープンハイブリッドクラウドといえる案件の比率を、どこまで引き上げることができるのか、ということになります。

現在レッドハットでは、Linux以外のビジネス規模を半分にまで引き上げたいと考えています。そのためには、今後、半分以上の提案活動を、クラウドやコンテナ、自動化といったものにしていかなくてはなりません。また、パートナーとの連携においても、オープンハイブリッドクラウドに関して、どれだけの啓蒙活動ができたのか、そして、一緒になってどれぐらいの案件を醸成したのかということを重視していきたいと思っています。

オープンハイブリッドクラウドをより具体的なものとして提案するのが、2019年になります。つまり、「戦略から実践へ」が、2019年のキーワードになります。

2019年には、Red Hat OpenShift Container Platformがさらに進化し、AWSだけでなく、Azureも、GCPも活用でき、さらには、プライベートクラウドにある仮想環境やベアメタル環境にもOpenShiftの環境を自動的に構築できるようになります。また、お客様の要求に合わせて、パブリッククラウドもプライベートクラウドも活用でき、そこに技術的な壁はなく、しかも自動化した世界を 提案できるようになります。これはレッドハットにとって、大きな進化になります。