トピック3:「5G」が始まると、通信がもっと速くなるの?

次世代移動通信システム「5G」は、いま日本で使われているLTEや、LTE-Advancedの次に予定されている通信規格。今年の12月には、5Gをサポートしたスマホ向けプロセッサ「Snapdragon 855」も発表され、商用サービスに向けた環境が整えられつつあります。

日本では2020年に本格的な商用サービスがスタートするとされている、次世代のモバイル通信方式「5G」。ですが米国では既に一部で商用化が開始されるなど、他の国が相次いで5Gの商用サービスを前倒しで実施しようとしていることから、日本でも2019年のラグビーW杯で、試験的なサービスが提供されるなど何らかの動きがあるものと見られています。

  • 2018年2月にスペイン・バルセロナで開催されたMWC 2018では、多くの通信会社や機器メーカーが5Gに関するデモンストレーションを披露した。国内でも、大手キャリアが5Gの実証実験を何度も実施している

その5Gでは、通信速度が最大20Gbpsとされており、現在主流の4Gで実現可能な通信速度(3Gbps程度)より一層高速になることは確かです。ですがそのためには幅広い帯域幅を持つ、28GHzなどの従来より高い周波数の電波を使う必要がありますし、そうした高い周波数は電波が遠くに飛びにくいなど扱いづらいものでもあるため、5Gが導入されたからといって必ずしもそこまでの高速通信ができるとは限りません。

実は5Gは、高速大容量通信の他にも、通信の遅延が少ない「低遅延」や、1つの基地局に多数の機器を同時接続できる「多接続」といった特徴を備えています。そうしたことから5Gはスマートフォンの利用を快適にするだけでなく、自動運転や遠隔医療、スマートシティなど、従来のネットワークでは実現できなかったさまざまなことが実現できるとされています。5Gでモバイルネットワークは携帯電話の枠を超え、社会インフラとしてより重要な存在になろうとしているのです。

トピック4:「有機EL」は液晶と何が違うの?

2017年頃からテレビやスマートフォンで広がってきた有機ELディスプレイ。NTTドコモ/au/ソフトバンクの2018年秋冬スマホでは、有機ELを採用したスマホが、液晶を採用したスマホより多く発表されています。

今年は、スマートフォンのディスプレイに液晶ではなく、有機ELを採用する機種が増えました。従来有機ELディスプレイを採用していたのはサムスン電子の「Galaxy」シリーズだけだったのですが、最近ではiPhoneをはじめ、多くのスマートフォンが有機ELを採用しています。中でも2018年には、これまで液晶に力を入れていたシャープが、「AQUOS zero」で初めて有機ELを採用したことが驚きを呼びました。

  • 有機ELディスプレイをAQUOSで初めて採用した「AQUOS zero」。シャープといえば低消費電力の「IGZO液晶」で知られるが、AQUOS zeroで採用された有機ELも自社生産だ

なぜ有機ELを採用するスマートフォンが増えたのかというと、1つは有機ELが、モバイルに適したディスプレイ素材だからです。有機ELは素材が直接発光する仕組みであることから、液晶のようにバックライトを搭載する必要がなく、省電力性に優れている上に本体を薄くしやすい。それでいてコントラストの高いくっきりとした映像を実現できることから、有機ELの人気が高まっているわけです。

そしてもう1つは、有機ELディスプレイを生産する企業が増えたこと。これまで中小型の有機ELディスプレイを量産できたのはサムスン電子の傘下企業だけだったのですが、最近ではシャープをはじめ、他のメーカーも中小型の有機ELディスプレイを量産できるようになりました。それゆえメーカー側が有機ELディスプレイを採用しやすくなり、搭載機種が増えたわけです。

ちなみに有機ELを採用したディスプレイには、曲げられるという特徴も備わっています。これまでは側面をカーブさせてディスプレイのベゼルを減らすなどの用途にしか活用されてきませんでしたが、2019年にはその特徴をより生かして、ディスプレイを折りたためるスマートフォンが登場すると言われています。そうした意味でも有機ELディスプレイの動向には、今後大きな注目が集まるところです。