IDC Japanは12月25日、IT管理者を対象とした企業におけるDevOpsの実践状況に関する調査結果を発表した。この調査は、2018年9月に実施し、515社から有効回答を得た。
それによると、DevOpsの実践状況について、「IT組織全体で実践している」という企業は12.6%となり、2017年調査(2017年8月に実施)から6ポイント上昇。さらに「一部の部門/プロジェクトで実践している」は15.5%となり、これらを合計した企業のDevOps実践率は28.1%となり、2017年調査の20.0%から大きく上昇した。
また、「実践する具体的な計画がある」と回答した企業も16.7%となっており、2019年はさらにDevOpsの実践率が上昇することが見込まれるという。
最もDevOpsの実践率が高い業種はソフトウェア/システム開発業(ソフトウェアベンダー、システムインテグレーター)で37.4%、次に通信/サービスプロバイダー業(通信、クラウドサービス、インターネットコンテンツプロバイダー、メディア)で32.2%となり、IT関連企業がDevOpsの実践を牽引。IT関連企業以外の中では金融業で実践率が最も高く28.3%となった。金融ではFinTechビジネスの開発が加速しており、FinTech向けWeb/モバイルアプリケーションについてDevOpsに取り組む企業が増加しているとみられるという。
DevOpsを実践している企業の51.1%はDevOps環境の構築にパブリッククラウドサービスを使用。その中で主に使用されているクラウドサービスはMicrosoft Azure(使用率43.2%)、Amazon Web Services(同39.2%)、Google Cloud Platform(同25.7%)、IBM Cloud(同20.3%)になる。
DevOps環境にDockerやKubernetesなどのコンテナ技術を使用している企業は86.2%になり、主に開発環境とテスト環境で採用。この結果から、DevOps環境ではコンテナ技術の活用が欠かせない存在になっていることが分かったという。
DevOpsを実践している企業に対して、現時点でDevOpsによるビジネス成果(売上、利益、顧客満足度の向上)について質問したところ、「期待以上に大きなビジネス成果が出ている」が11.7%、「期待通りのビジネス成果が出ている」が29.7%になり、それらを合計した41.4%の企業がDevOps実践によるビジネス成果が出ていることが分かったという。
さらにビジネス成果を出している企業の30%以上が「DevOpsサイクルの内製化」「DevOpsエンジニアの獲得/育成」「DevOpsに対するビジネス部門の理解/協力」が成果を出すためには重要である点として挙げている。
IDC Japanソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーである入谷光浩氏は、「DevOpsを実践する企業は拡大しているが、ビジネス成果につながっている企業はまだ半数にも満たない。成果を出していくためにはツールや技術の活用だけではなく、人材、組織、文化、プロセスをDevOpsに適合させていくことが重要である」と述べている。