12月12日から14日にかけて東京ビッグサイトにて開催されているエレクトロニクス製造サプライチェーン総合展示会「SEMICON Japan 2018」において、ニコンは5nmプロセスの量産に対応できるArF液浸スキャナ「NSR-S635E」のパネル展示のほか、長年培ってきた露光装置の光源技術を応用して、多様な加工を実現する多機能光加工機のほぼ製品版をデモ展示している。

NSR-S635Eは、高機能アライメントステーション「inline Alignment Station(iAS)」を搭載することで同一装置において1.5nm以下、同一機種間でも2.1nm以下の重ね合わせ精度を実現しつつ、一時間あたり275枚(96ショット時)のスループットを可能とするArF液浸露光装置。NAや解像度は、前世代となる「NSR-S631E」から変更はないという。

  • NSR-S635E

    SEMICON Japan 2018におけるNSR-S635Eの説明パネル

一方の光加工機は、前回のSEMICON Japan 2017にも参考出展としてデモ展示されていたもののブラッシュアップ版。ただし、まだ正式製品化前のため、今回も参考展示、という扱いとなっている。特徴としては同一のレーザーで、「造形・肉盛り」「マーキング」「研磨」「切断/穴あけ」「接合」といったさまざまな機能を実現できる点で、製品の仕様などが固まってきたこともあり、2019年の春ころをめどに正式発表を行なう予定だという。

  • 光加工機

    露光技術をベースに開発されたレーザー光源を活用した光加工機。さまざまな素材の加工が可能だが、製品化の段階では、まずはステンレスへの対応をうたう予定とのこと。また色は前回は白モデルの展示で、今回は黒モデルとなっているが、製品版もこの2色で展開される予定だという

  • 光加工機の操作パネル

    操作パネル部分。周辺のボタンを含め、SEMICON Japan 2017のときと比べて、若干の変更が見られる

当初の対応素材としてはステンレスを予定しており、前回から一年をかけてさまざまな産業分野の企業にアーリーアダプタとして声をかけてきたとのことで、さまざまな機能を有しており、かつ小型コンパクトという特徴から、おもちゃ業界や装飾業界などでの活用が期待できるのでは、という話であった。

  • 平成の墓

    真ん中の平成の文字が書かれた石板の加工コンセプトは平成の墓とのこと。その脇にはラケットやハルバード(槍斧)といった加工品も見られる

また、さまざまな方式で接合ができるため、例えば8インチの中古装置の場合、元のカスタマが改造を施していることも多く、継ぎ手などの配管部品などがすでに手に入らない場合もある。同装置はアライナも搭載しており、形状を認識して加工することも可能であり、そうした継ぎ手などを補修したり、といった用途にも使えるほか、厚みを持たせて補修を行い、それを切り取ってもとの形状に戻すといったこともできるなど、アイデア次第で、さまざまなことができるとのことである。

  • 金属加工のデモ

    金属が欠けた部分に一度、同じ金属を盛って、それを切り取ることで、もとの形状に戻した素材のデモ品。パッと見で、その凄さはわかりにくいが、これが手元でできると、いろいろな加工や治具作製などが捗ることが期待される

  • 金属加工のデモ
  • 金属加工のデモ
  • わかりづらいが、3つの金属部品で構成されている(中に球体が入っている)。外側の円錐形の端同士を光加工機で接合することで実現している。球面であっても、形状認識できるので、2~3回ほど、接合面を回転させてやることで、360度の加工が可能だという

まだ正式決定ではないが、製品化の暁には、同社の熊谷製作所にデモルームを作って、そこでどんなことができるのか、といったことを試してもらうといったことも考えているとのこと。また、価格としても、こちらも正式決定ではないが、数千万円台の前半くらいを目安に提供できれば、としており、価格対性能比も売りにしていく予定だという。

会場では、さまざまな加工が施された制作物も多数展示されているので、実際にどんなことができるのか、といったことを知りたい人は、同社ブースで確認してみると良いだろう。