RPAやAIによる業務効率化と業務負担軽減が現在、多くの分野で進められているが、今回、神戸市は、モンスター・ラボ社と協力して、2018年7月2日から10月31日までの4カ月間、RPAを活用したレセプト(診療報酬明細書)確認作業の業務効率化の実証実験を行い、1カ月あたり38時間の作業時間を削減することに成功したことを発表した。年間で積算すれば、最大459時間の削減を見込めるという。

  • Urban Innovation KOBE レセプトチェックの自動化実証実験<a href="http://www.city.kobe.lg.jp/information/press/2018/12/img/report_receipt.pdf" target="_blank">成果報告書</a>

    Urban Innovation KOBE レセプトチェックの自動化実証実験成果報告書

実証実験は、神戸市が起業家を支援するスタートアップと行政職員が協働して地域課題を解決するプロジェクト「Urban Innovation KOBE」の事業により開始されたもので課題は、子供への医療費の助成等のため医療機関から送付されるレセプトの確認作業を行っている国保年金医療課の業務負担の軽減。送付されるレセプトは毎月20万件以上に及び、従来、神戸市職員にとって負担となっていた。この課題の解決に取り組んだのがWebアプリやゲーム、RPAなどを開発するモンスター・ラボとビッグデータ、AI、IoTサービスを展開するFlyDataの2社。

今回の実証実験で導入されたのが、モンスター・ラボのRPA「Monstar Robo」。同社は確認作業において時間を費やしている業務フローを整理し、自動化対象業務を特定し自動化のためのロジックやプログラムを実装した。

神戸市では実証実験の概要を発表しているが、レセプトの内容確認業務の主な自動化の対象は、本来助成を受けられない請求書(エラー)の疑いのある区分の発生件数が全体の40%にあたる"診療月が助成対象期間外"、14%にあたる"個々人に割り当てられた番号に関するエラーの検出作業"。これら以外の確認作業は、現在の環境では自動化が難しく、単純な処理で効果が高い二つの案件で自動化を実行している。複雑な判断が必要な処理においては、FlyDataのAIロジックが活用された。

  • RPA導入前後の比較(同市資料より)
  • RPA導入前後の比較(同市資料より)
  • RPA導入前後の比較(同市資料より)

実施結果では、自動化適用前の月あたり2,608分(約43時間)が、315分(約5時間)に削減。これは全体の93%に該当するもので、年間で計算すれば459時間の削減が見込める。今回の結果を踏まえて神戸市は、FlyDataとのAI技術活用のエラーチェック作業支援システムの構築、RPAを使用して更なるチェック作業の効率化や他の業務へ導入検討を進めていく。