Raspberry Piで動くVMware ESXiのプロトタイプを披露
今年のVMworldでは、ARMの64ビットプロセッサ用のVMware ESXiハイパーバイザーを発表し、IoT分野への取り組みを示した。続いて、11月に開催された「VMworld 2018 Europe」では、Raspberry Pi用 vSphere ESXiのハイパーバイザーのプロトタイプを披露した。
オファレル氏にこのプロトタイプについて聞いてみたところ、「ユーザーから『エッジに仮想化を持っていくことはできないのか』という質問を多く受けることから、それが可能であることを示すためにプロトタイプを作ってみた」という答えが返ってきた。
例えば、自動車においては、1つのハードウェアの中で自動運転と音楽用のインフラを分離することが必要となっている。これを実現する方法として、「別のコンピュートセットを用意する」もしくは「1つのハードウェアにまとめつつ仮想化で分離させる」という2種類があるが、仮想化をエッジに寄せていきたいというニーズが高まっているという。
オファレル氏は、このプロトタイプによって「ハイパーバイザーは必ずしも大きなソフトウェアでなくてもいいこと」「エッジではファイバチャネルとvSANのスタックが不要なため、ハイパーバイザーを大きくできること」という2つのことを見せたかったと語った。
新たなアプリケーションを生み出す5G
ヴイエムウェアのエッジコンピューティングに関する戦略は、当然、実用化が迫っている5Gを踏まえてのものとなる。同社では、通信事業者と5G関連のビジネスが進んでいるという。
オファレル氏に「5Gが普及すると何が変わるのか」を聞いたところ、「デバイスに対し、レイテンシーを抑えた接続性を提供していかなければならなくなる。その結果、5Gの特性を生かした新たなアプリケーションが必要となり、NFVの出番だ。エッジアプリケーションでは、データが大量に生成されるため、コンピューティングが必要となる。ここに、われわれのチャンスがある」と語った。
さらに、5Gが成熟してくると、アプリケーションスタック側でも変化が起き、コンテナが必要となる。ヴイエムウェアは「「Any Device,Any Application Any Cloud」を実現するため、コンテナにも注力している。
企業が5Gを自社のビジネスチャンスとして生かすには、エッジコンピューティングとコンテナの整備がカギとなるわけだ。現在、5Gの実用に向け、通信事業者を中心にさまざまな実証実験が行われている。今は、こうした実証実験の結果を参考にしつつ、5Gに対する自社の戦略を検討行くことが必要なのかもしれない。