ヴイエムウェアは11月13・14日、年次カンファレンス「vFORUM 2018 TOKYO」を都内で開催した。初日のゼネラルセッションは、「Technology Superpowers」というタイトルの下、クラウド、IoT、エッジ、コンテナなど最新技術に関する同社の戦略や取り組みが紹介された。

VMware Cloud on AWS、東京リージョンから日本企業も利用開始

最初に登壇したのはヴイエムウェア 代表取締役社長のジョン・ロバートソン氏だ。同氏は「今年、VMwareは創業20周年、日本法人は創業15周年を迎えたが、『システムのサイロを壊す』というミッションは変わってない。サーバに始まり、さまざまなサイロを壊してきた。われわれのソリューションは日本の顧客と一緒に作り上げてきたと思っている。米国のベストプラクティスに、品質に厳しい日本企業のニーズを融合する形で、ソリューションを作ってきた」と述べたうえで、前日に発表された「VMware Cloud on AWS」の東京リージョンでのサービス開始を紹介した。

  • ヴイエムウェア 代表取締役社長 ジョン・ロバートソン氏

「VMware Cloud on AWS」はAmazon Web Servicesのベアメタル上でVMware SDDC(Software Defined Datacenter)を実行できるサービス。2017年8月に北米で提供が始まり、日本のリージョンからの提供が待たれていた。

昨年と同様に、アマゾン ウェブ サービス ジャパン代表取締役社長の長崎忠雄氏も登壇した。同氏は「昨年のvForumで講演を行って以来、多くの顧客からVMware Cloud on AWSを使いたいという声が上がっていた。既にアーリーアダプターの顧客が複数社いるが、ヴイエムウェアと共同で提案した案件も多く、われわれも積極的にVMware Cloud on AWSを提案している」と述べた。

  • アマゾン ウェブ サービス ジャパン 代表取締役社長 長崎忠雄氏

ロバートソン氏は「VMware Cloud on AWS」の代表的なユースケースとして、「クラウドへの移行」「データセンターの拡張」「次世代アプリ」を挙げ、「VMware Cloud on AWSにおいて、アプリケーションの移行はリフト&シフトで行われる。また、VMware Cloud on AWSでは120以上のAWSのネイティブなサービスを利用できるため、これらを使いこなすことでデジタルトランスフォーメーションを実現できる」と説明した。

VMware Cloud on AWSのアーリーアダプターとして、テプコシステムズ取締役常務執行役員の川名康雄氏が利用状況を紹介した。同氏は、「デジタルトランスフォーメーションはわれわれ1社だけでは実現できない。外部の人と連携することで社外の知見を活用するとともに、われわれが所有しているデータを活用してもらうことでコアを創造していきたいと考えている。そのためのプラットフォームの核となるテクノロジーが、VMware Cloud on AWS」と語った。

  • テプコシステムズ 取締役常務執行役員 川名康雄氏

外部の人はAWSに環境を構築することで、それぞれが独立した形で検証を進めることができる。さらに、テプコシステムズ側もセキュリティを確保することが可能だ。今後も本格運用に向けた検証を続けていくという。

Goodを確保する「新たなセキュリティモデル」が必要

続いて、VMwareの最高経営責任者(CEO)を務めるパット・ゲルシンガー氏が登場した。同氏は初日のゼネラルセッションのテーマ「Technology Superpowers」を構成するテクノロジーとして「クラウド」「モバイル」「AI/ML(機械学習)」「エッジ/IoT」を挙げ、「これらが合わさるとパワーが増す」と述べた。

  • VMware 最高経営責任者(CEO)パット・ゲルシンガー氏

そして、ゲルシンガー氏は「VMware Cloud on AWS」を、「セキュリティ」「クラウド」「エッジ」「コンテナ」における最新の取り組みを紹介した。

最初に紹介したテーマは「セキュリティ」だ。ヴイエムウェアはセキュリティソリューション「VMware AppDefense」を提供している。ゲルシンガー氏は「これまでのセキュリティ対策は『Badを追跡する、後付けの対策』だったが、これでは現在の脅威に対抗することはできない。これからは『Goodを確保する本質的なセキュリティ』が必要」と述べ、これを実現するのが「AppDefense」となる。

今年8月、AppDefenseを統合したVMware vSphere Platinumエディションが発表された。同製品はAppDefenseとvSphereがネイティブで統合されており、仮想マシン上でアプリケーションの動作を学習、その内容に基づき保護を行い、アプリケーション内で発生する変化に適応する。つまり、AppDefenseではアプリケーションの正常な動作を学習し、そこから逸脱したものを「異常」として検出する。

さらに、ゲルシンガー氏は「AppDefense」と「NSX」の連携による「アダプティブマイクロセグメンテーション」を紹介した。両製品の連携により、アプリケーションに応じたポリシーの調整とマイクロセグメンテーションの自動化により、コンピュータとネットワークの保護を実現する。