中国Huawei(ファーウェイ)でコンシューマー向け端末を担当する、Consumer Business GroupのVice President、Jim Xu氏が来日し、報道陣のインタビューに応じました。日本でも発表されたばかりのフラッグシップモデル「Mate 20 Pro」をはじめ、グローバル市場の動向などについて語りました。

―― Mate 20 Proが日本でも発表となりました。すでに発売されているグローバルでの動向はいあかがでしょう。

Jim Xu氏:最初の発売から1カ月半ぐらい経ちましたが、1世代前のMate 10と比べても大きく伸長しています。海外の多くの国で(Mate 10比で)3~5倍のペースで伸びています。製品のライフサイクルの間に、トータルで1,000万台に届くのではないかと考えています。

  • Huawei Consumer Business GroupのVice President、Jim Xu氏

Jim Xu氏:今年(2018年)の3月にHUAWEI P20シリーズ、そして10月にMate 20シリーズという2回の発表で、マーケットやメディアからはポジティブな反応を得ています。特にメディアの反応を見ると、今年のベストスマートフォンはファーウェイ製と言われているようです。

―― この1年を振り返って、成功した点はなんでしょう。

Jim Xu氏:ハンドセットは、我々のConsumer Business Groupで最も革新的な製品です。フラッグシップモデルが消費者に認められており、フラッグシップモデルの販売数は前年同期比で倍になっています。

ミドルクラスやローエンドも、フラッグシップモデルのブランド力が牽引しており、多くの国で製品の出荷台数が50%増えています。スマートフォンの年間出荷台数は2億台を越えると予想しています。

スマートフォン以外で、タブレットも良い実績を打ち出せました。PC製品も、来年(2019年)はもっとたくさんの機種を市場に投入していきます。研究開発への投資もさらに拡大していく計画です。

ウェアラブル、IoT製品など、個人や家庭向けのオールシーンのソリューションも、今後のファーウェイの重要な製品群として投資を拡大していきます。

  • Mate 20 Pro

―― 米国でファーウェイ製品に対する風当たりが強まっています。

Jim Xu氏:ファーウェイの製品は世界170の国と地域で提供されていて、トップ500に入る大企業がたくさん顧客になっています。消費者の数は約3億人に達しています。この数字が、ファーウェイの製品は世界の色々な人から認められ、信頼されている証しになります。

一部には販売できないような市場もありますが、条件が許されるならぜひその市場に参入したいと考えています。

どちらにしても、一貫して消費者のために最も良い製品やエクスペリエンス、サービスを提供していくという決心は変わりません。一貫して消費者第一を掲げてきたからこそやってこられたことです。

―― Appleを抜いて世界2位のスマートフォンメーカーが近づいていますが、Samsungを抜いて1位になるための戦略は。

Jim Xu氏:社内では、1位を明確な目標と掲げていません。それは、結果であって目標ではないからです。高品質で、サービス、エクスペリエンスが良いというニーズを満たす本当に消費者に気に入られるような製品を作っていくことです。

製品に関してはまずまずのところまで来ていると思いますが、サービス、販売、アフターケアなどはもっと良くしなければならないでしょう。今回も日本に来て、日本の小売りから勉強させて欲しいと考えています。

あくまで、消費者に対してサービスを提供することです。真面目に製品を作り、リテールでエクスペリエンスを向上できれば、より多くの消費者に気に入られ、買ってもらえるようになるでしょう。これが本当の目標です。

  • 2018年6月、NTTドコモからのみ発売された「P」シリーズのハイエンドモデル「P20 Pro」。「P」シリーズには、ミドルレンジ「P20」、エントリー「P20 lite」があり、P20 liteはauが、P20は各MVNOが取り扱っています

―― ファーウェイの伸びに対して、Appleの停滞もあったように思います。

Jim Xu氏:中国市場では、iPhoneは依然として売れています。iPhoneの販売状況は注目していません。すごく高い価格帯ですので。既存のユーザーに対して、ユーザーエクスペリエンスを向上させること、簡単にiOSからAndroidへの切り替えができるようにする、といったものを提供しています。

将来的にiPhoneから切り替えるときでも、データやメッセンジャーなどが簡単に移行できるソリューションを提供して、消費者に選択肢が得られるようにしています。

ファーウェイは、欧州のほとんどの国でシェアが20%を超えています。一部の国では30%のシェアを獲得しています。実売ではミドルレンジの製品、P liteシリーズのような製品が一番のボリュームです。中東、アフリカ、南米、アジア太平洋の一部ではローエンドのエントリーモデルが一番のオンボリュームです。

日本市場はハイエンドが非常に大きく、イギリス、ドイツの2カ国を足した量に相当します。ここも大きな伸びしろになると信じています。さらに、ミドルレンジを強化していきます。ミドルレンジはコストパフォーマンスを保証する製品を提供します。

海外では、ハイエンド、ミドルレンジ、ローエンドのラインナップを続けています。消費者のニーズはそれぞれです。次のステップとしてはハイエンドの数を伸ばしていきたいと考えています。消費者がブランドを認めるきっかけはハイエンド製品です。

ファーウェイは研究開発に多額の投資を行っている技術系の会社です。去年(2017年)の研究開発費は120億ドルに達しましたが、今年(2018年)はさらに増えます。これまで蓄積した技術力をどんどんハイエンドに搭載していきたいと考えています。もっと革新的で技術が先行したものを作っていきたいと思います。

  • 2018年10月発売のSIMフリースマートフォン「nova 3」

―― 将来のスマートフォン、特にAIに関してはどのようにお考えですか。

Jim Xu氏:次世代のスマートフォンは、ハードウェアの改善以外に、ソフトウェアの体験向上がAIによってもたらされるものと信じています。今後の数年間で、音声識別機能が強化されるでしょう。

今はアプリケーションを指でタップするなど、操作を指で行っていますが、音声識別、クラウド連携による処理によって、ユーザーが望む動きをしていくようになるでしょう。

Mate 20 Proでは食べ物にカメラをかざしてカロリーが分かるとか、一部の機能を搭載しましたが、未来から振り返れば、まだ十分なことができていないと思います。

ハードウェアでは、専用のカメラ、ビデオカメラに近づけたいと考えており、フォトグラファーやビデオグラファーには伸びしろがあると考えています。バッテリーの持ち時間も重要です。

―― 海外ではペン入力に対応したMate 20 Xが登場しています。

Jim Xu氏:この製品に関しては、海外のすべての国で販売する自信を持っていません。そのため、中国市場で販売しています。もうちょっとたくさんの調査が必要です。大画面を消費者がどう反応するか。メモが取りやすく、ゲームパッドを装着できてと、中国での反応は悪くありません。

マレーシアとタイでも試験的に販売していますが、まずまずの反応です。今後も継続して出していきたいと考えています。次は日本市場でも出していきたいと思います。当初はあまり自信がなかったのですが、今後はもうちょっと大胆に出していきます。