いざ電子書籍を購入しようとしたときに、どのWebサイト(電子書店)で購入したらいいのでしょう? 電子書店によって、取り扱うコンテンツが違ったり、同じコンテンツでも価格に差があったりしますので、電子書店選びはとても重要です。今回は、電子書店を選ぶコツをお伝えします。

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    電子書店はたくさんありますが、いったいどれを使うとよいのでしょうか

紙の本にある再販制度

紙の本の価格は全国どこの書店でも同じですが、電子書籍の価格はすべての電子書店で同じだとは限りません。なぜ紙の本の価格が一定なのかというと、必ず定価で販売しなくてはならない「再販制度」が適用されているから。

価格を変更できると、値下げ競争が起きたり、一部の人気ジャンルの本ばかりが販売されたりするため、全国の書店で不安定な配本になり、発行部数が少ない書籍は全国に行き渡らない事態が起きてしまいかねません。あらゆるジャンルの書籍を全国の書店で安定して販売できるよう、1953年に独占禁止法で定められたのが再販制度でした。

電子書籍は価格が変動する

けれど電子書籍には再販制度がありません。同じコンテンツでも、セールでほかの電子書店より何割も安いときや、期間限定で無料配信という大サービス状態になることもあるのです。

電子書籍はオンラインでダウンロードするものなので、国内どころか海外にいても、欲しい本を手に入れられます。紙の本だと、売り切れたとき入荷待ちのストレスがありますが、電子書籍は売り切れることはありません。書店に出向く時間や交通費を節約できます。

それぞれの電子書店が趣向を凝らしたセールやキャンペーンを実施しています。たとえば楽天Kobo電子書籍ストアでは、「警察小説40%オフ」「水曜日はレディースデーで女性は10%オフ」といった興味深いセールを行っています。電子書店の中には、特定のコンテンツを期間限定で80%オフにしたり、1円や無料で提供したりするところもあるので、情報を逃したくない人はメルマガ登録することをオススメします。

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    楽天Kobo電子書籍ストアでは、思わず目を引くセールがたくさん行われています

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    楽天Kobo電子書籍ストアのクーポン一覧

どの電子書店を選ぶべき?

では、どの電子書店を選べばいいのでしょうか。その都度、すべての電子書店を比べて、欲しい本が一番安い価格で売られているところで購入するとおトクでしょうけれど、電子書籍は基本、購入した電子書店のWebサイトや専用アプリでしか読めません。

複数の電子書店を使っていると、あとで「あの本はどの電子書店で買ったのだろうか」と手間取ることもありますので、まずはメインの電子書店をひとつ決めたほうがいいでしょう。マンガ用、ビジネス書用、などジャンル別に使う電子書店を分けている人もいます。

利用する電子書店ですが、自分がよく使うショッピングサイトと連携しているところがオススメ。たとえばYahoo! ブックストアで電子書籍を買うとTポイントが貯まりますし、Tポイントで本も購入できます。同様に楽天Kobo電子書籍ストアでは楽天ポイントが使えますし、AmazonでもAmazonポイントがつく電子書籍があります。どこのショッピングサイトをよく使っていて、どのポイントを貯めたいかを考えて電子書店を選べば、オトクに電子書籍を読めるはずです。

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    Yahoo! ブックストアで電子書籍を買うと、Tポイントがたまります

私は主にAmazonのKindleストアを使っています。無料本のランキングページがある点、海外の洋書もダウンロードできる点、そして私がAmazonでよくショッピングしているのが大きな理由です。サブとしては楽天を使っています。貯まった楽天ポイントで、マンガや書籍をダウンロードすることがあるからです。また、LINEマンガやピッコマの無料オリジナル作品が好きなので、しばしば読みにいっています。

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    Kindleストアでは無料電子書籍のランキングがあり、どの本がよく読まれているかわかりやすくなっています

それではジャンルごとに、私がオススメする電子書店を紹介しましょう。

ビジネス書好きにオススメ

Amazonの品ぞろえがすばらしいです。無料で読めるものも多く、月額980円(税込)の読み放題プラン「Kindle Unlimited」では、刊行して半年以内のビジネス書もたくさんラインナップされており、非常に重宝しています。洋書も充実し、日本語訳されていない海外作家の新刊ビジネス書も原書で読めます。

雑誌好きにオススメ

最近は雑誌もかなり電子で読めるようになり、雑誌だけを取り扱う電子書店がいくつも出てきました。電子版の雑誌を単品で購入するのなら、かなりマニアックな雑誌まで電子版を有料配信している「Fujisan」が便利です。雑誌の読み放題であれば「楽天マガジン」。月額たったの380円(税別)で、200種類の雑誌がバックナンバーまで読み放題なのです! 380円というと、だいたい雑誌1冊分の料金。これで雑誌を何百冊も楽しめてしまうのだから、びっくりするほどオトクなのです。ただひとつ残念な点をあげるとすれば、雑誌の電子版には付録が付いていないところでしょうか。

マンガ好きにオススメ

マンガについては、版元である出版社も電子書店を運営していることが多いので、自分がよく読むレーベルがあるのなら、その版元の電子書店を選ぶといいでしょう。出版社の電子書店では、著者インタビューや作品の周辺情報が掲載されていることもあり、より深く作品を楽しめます。

さまざまな出版社の作品を網羅する電子書店を使いたいなら、「コミックシーモア」がオススメ。オリジナル作品も含め、たくさんのジャンルのマンガを幅広く取りそろえているので圧巻です。マンガの読み放題プランを検討しているなら、ヤフーの「読み放題プレミアムbyブック放題」がオススメ。月額462円(税別)で、マンガ1万冊と雑誌100冊が読み放題です。取り扱うマンガはひと昔前のものが多いのですが、昭和の傑作マンガなどは読みごたえがあるでしょう。

増えつつあるオリジナル作品

最近は、特定の電子書店でだけ独占販売されている本もあります。Amazonプライム・ビデオやNetflixなど、サブスクリプションの動画配信サービスと傾向が似ていて、各社がオリジナル作品の制作に力を入れていると感じています。特にコミックシーモアやLINEマンガなど、マンガ主体の電子書店でその傾向が強くなっています。あちこち試し読みしてみて、お気に入りのオリジナル作品がある電子書店を選ぶのもアリでしょう。

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    LINEマンガなど、オリジナル作品に力を入れている会社も増えてきました

さまざまな配信の形がある

電子書籍を楽しむようになってくると、紙の本になっていない、電子版でのみ配信されている本がたくさんあることに気づくでしょう。マンガをメインで扱う電子書店には無料作品も多いので、それを読むだけでもかなり楽しめるはずです。

まず電子で配信し、好評だったら紙の書籍にするという方式を取るところもありますし、紙では出さずに電子書籍だけ販売するというスタイルの本も存在します。パピレスで配信されている1コママンガなど、スマートフォンならではの縦スクロール作品もあり、電子書店を探検して新しい形の読み物を見つけるだけでも、とても刺激を受けられることでしょう。

■著者プロフィール : 内藤みか

山梨県出身・慶應義塾大学文学部卒(通信課程)・日本文芸家クラブ理事。著書80冊以上。2000年代にケータイ小説サイトでランキング1位を連発し、ケータイ小説の女王という異名を取る。脚本を担当したラジオドラマ『婚活バスは、ふるさとへ』(YBS)が文化庁芸術祭優秀賞受賞。『夢をかなえるツイッター』などSNS系への関心も強い。

近著は『数学しかできない息子が早慶国立大学に合格した話』(ぶんか社)、『無料も読み放題も! 使いこなせる電子書籍生活』など。