残業が多かった営業部門でも、21%の残業時間減を実現するに至った経費精算システムの刷新だが、導入にあたって社員教育にも注力した。

「基本的に拠点を訪問して直接教育を行いました。特に電帳法に対応するために、3日以内の領収書撮影だけは行うようにお願いしました。まとめて処理している人が多いのですが、申請は後でも構わないから領収書の撮影だけはすぐにして欲しいと伝えました。今ではほとんどパソコンは利用していないと聞いています。特にETCの履歴を直接取得できる連携機能は大きな効果が出ていると感じています。これまではプリントしたものを出力していたので、手間はかなり少なくなりました。一方、交通系ICカードの連携機能は、1日の移動が多すぎて自動取得できる件数を超えてしまうことが多く、あまり使われていないようです。こちらは画面上に移動経路を入力するだけで金額が出るようになったので、そちらが便利だと聞いています」(石川氏)

経費申請のための移動時間削減はもちろん、こうした入力支援機能のおかげで作業時間自体も半減したことが、残業時間削減に大きな効果をもたらしたと言えるだろう。

結果として、マネーフォワード主催の「クラウドサービスアワード2018」において、日経FinTech賞を受賞するに至った。

  • マネーフォワード主催の「クラウドサービスアワード2018」において、「日経FinTech賞」を受賞

在宅勤務の試験導入も実施

ビューティーエクスペリエンスでは、これに加えて2018年7月から試験的に在宅勤務制度も取り入れた。対象は全社員で、申請により、週に一定日数を在宅勤務できるようにする制度だ。

「今のところは試験的に5人が利用しています。パッケージや販促物などのデザインを行う部門から3名、マーケティングと研究の部門から1名ずつです。在宅でも成果に変化がないということで、デザイン部門は利用しやすいと思います」と石川氏は語る。

月45時間までの残業を基本報酬に含んでいることもあり、特に在宅での働きぶりを評価することへの難しさなどは感じることなく新たな一歩を踏み出せたようだ。

そして、同社は今後取り組みとして、営業部門の改革に目を向けているようだ。

「ちょうど2018年10月から新しい中期経営計画の3年間が始まりました。これからは営業活動におけるデジタル化によるサポートに力を入れたいということで、顧客データベースを活用した営業活動などを考えています。すでにSalesforceは利用しているのですが、そのデータをさらに活用したいですね」と石川氏は語る。

代理店を通しているビジネスであるため、既存ユーザーであるサロンでも他社製品と併用しているのか、どのような使い分けがされているのかなどは見えづらいという。業務改善と顧客データベースの活用により、そうした部分を把握したり、サロンへの提案を行ったりといった展開を目指していくという。