シグマから、久々となる「Sports」ラインのレンズが登場しました。標準域の60mmから超望遠域の600mmまで、10倍ものズーム比を誇る「60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM」です。
これだけの高倍率ながら、同社の「150-600mm F5-6.3 DG OS HSM」と同等の描写性能に仕上げていることや、4段分の強力な手ぶれ補正機構のおかげで手持ち撮影も可能なのが特徴です。FLDガラス3枚、SLDガラス1枚を採用した19群25枚のレンズ構成で、焦点距離全域にわたって均一な画質としているのも目を引きます。
レンズ鏡筒などにマグネシウムやCFRPなどの素材を用いて、軽量化と堅ろう化を図っているのもポイント。約2,700gという重量級レンズですが、キヤノンのフルサイズ一眼レフ「EOS 5D Mark IV」に装着した際のバランスはよく、テレ端でも手持ちで快適に撮影ができました。
ズームリングは、現在一般的な回転式ズームだけでなく、直進ズームにも対応するのがユニークな点です。ギュッと一気にズーミングできるので、動きの速い被写体を追うスポーツやワイルドライフの撮影でも抜群のハンドリングとなっています。
各所にはシーリングを施していて防塵防滴性能を確保しているほか、レンズの前玉には撥水防汚コーティングも施されているので、過酷な環境下でも安心して使える頼もしいレンズになっています。付属の三脚座はアルカスイス互換となっており、対応する雲台にクイックな脱着が可能です。もちろん、三脚座は取り外すこともできます。
高倍率ズームとは思えない解像感、AFも素早い
実際にさまざまなシーンで撮影してみましたが、10倍という高いズーム比のレンズとは思えない解像感とヌケ感のよさが感じられ、素晴らしい写りでした。被写体が素早く近寄ったり離れたりするサッカーなどでも、直進ズームが可能な点と相まって、これ1本で対応できるのが心強いです。オートフォーカスのスピードや手ぶれ補正機構の働きも上々。素早く被写体に合焦し、ピタッと止まるのが快感になるほどです。
60mm始まりという点もあり、スポーツや風景だけでなく、スナップなど多くの撮影シーンで活躍するレンズだといえるでしょう。
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草むらでウトウトするノラネコをテレ端で撮影。手持ちでもネコの毛並みがよく分かるほどシャープに撮影できました。ボケ味もソフトで自然に感じますね(EOS 5D Mark IV使用、600mm相当、ISO200、1/500秒、F6.3、-0.3補正)
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テレ側に振られた超望遠ズームとは違い、60mmスタートのこのレンズはスナップなどでも活躍します。オートフォーカスも素早く、河原で楽器を演奏する人を見つけた瞬間にクイックに撮影することができました(EOS 5D Mark IV使用、348mm相当、ISO100、1/400秒、F6.3、+1補正)
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600mmという超望遠の世界を、手持ちで手軽に味わえるのはすごいことです。このカットは、神奈川県川崎市の登戸から、東京都世田谷区の二子玉川を撮ったものです。遠くに見える楽天本社ビルと、その手前に東名高速道路、さらに手前に二ヶ領宿河原堰まで圧縮されて捉えられています。河川敷で野球をする人、堰に止まるカワウまで確認できますね(EOS 5D Mark IV使用、600mm相当、ISO160、1/500秒、F8.0)
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このレンズは回転式ズームレンズとしても、直進式ズームレンズとしても使えるのが特徴です。被写体や撮影スタイルによってチョイスできるのがうれしいです。視界に入ってきた小田急ロマンスカーGSEをとっさに撮影しましたが、直進ズームスタイルでうまくフレーム内に捉えることができました。オートフォーカスも正確で、乗客の姿も分かります(EOS 5D Mark IV使用、600mm相当、ISO200、1/640秒、F6.3)
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標準域から超望遠域をカバーしているので、サッカーなどプレーヤーが縦横無尽に動き回るものを撮るのに向いているレンズです。動きが激しい被写体でも快適に捉えられます(EOS 5D Mark IV使用、60mm相当、ISO100、1/640秒、F5.0)
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水面で翼を休める鳥たち。これから野鳥のシーズンなので、高倍率ズームレンズが活躍することでしょう。光芒の形やボケも整っており、逆光時にも安心して使えそうです(EOS 5D Mark IV使用、600mm相当、ISO100、1/4000秒、F6.3、-0.7補正)
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堰に列を成して止まるカワウたち。その表情と羽根の立体感をしっかりとキャプチャーしてくれました。飛沫も克明に捉えられています。手持ち撮影でも600mm域を手軽に味わえるのは素晴らしいですね(EOS 5D Mark IV使用、600mm相当、ISO200、1/640秒、F8.0、-0.7補正)