イヤホンというと、ケーブルの片側は耳に接する部分(ハウジング)、その反対側はイヤホンジャックに差し込むコネクタという構造が常識でしたが、近ごろはそうでもありません。iPhone/iPad用イヤホンの中には、コネクタの代わりにLightning端子が用意されているものもあり、どういう仕組みなのか不思議に思うかもしれませんね。

その謎を解く鍵は、Lightning端子を備えたイヤホン(以下、Lightningイヤホン)のLightningコネクタ部分にあります。一見すると、データ転送や充電に使う通常のLightningケーブルと変わりませんが、コネクタ部分にデジタル信号をアナログ信号に変換し、それをイヤホンを振動させられるだけの信号に増幅するICが内蔵されているのです。なお、コネクタ部分ではなく、ケーブル途中のリモコン部分にそれら回路を搭載しているイヤホンもあります。

少々専門的な話になりますが、そのLightningコネクタ内での信号処理は大きく2種類あります。1つは、Lightningコネクタから入力したデジタル信号をそのままDAC(デジタル/アナログ信号変換装置)に渡し、得られたアナログ信号を増幅して出力するというものです。もうひとつは、DACの前段に「Lightning Audio Module(LAM)」というApple認定のICを置き、外部機器も利用可能にするというものです。

高度な機能を実現できるのは後者で、マイクなどマイコン制御が必要な機器も利用可能になります。音声通話やSiriのサポート、ノイズキャンセリング対応など多機能なLightningイヤホンが登場していますが、その場合はLAMを搭載していると考えていいでしょう。

Lightningイヤホンは、iPhoneとの接続にケーブルを使わないBluetoothイヤホンに比べ機動力では見劣りするものの、混雑した場所でも音途切れしないなど接続が安定しています。Bluetooth/A2DPは必ず音声信号が非可逆圧縮されますが、Lightningイヤホンでは非圧縮伝送できるという点で音質的に有利です。検討する価値は大いにあると思いますよ。

  • Lightningイヤホンのコネクタ部分またはコントローラ部分には、音処理用回路が埋め込まれています(写真はPioneerのLAM搭載Lightningイヤホン「RAYZ Plus」)