大和ハウスグループのロイヤルゲートが、クレジットカードや電子マネー、各種QRコード決済などに対応したハンディタイプの決済端末「PAYGATE Station」を発表した。「これ1台で決済のほとんどに対応できる」(代表取締役CEO・梅村圭司氏)というほど、豊富な決済手段をサポートする。

ロイヤルゲートの代表取締役CEO・梅村圭司氏

新端末はNTTドコモや楽天、LINEなどのパートナー企業とも協力して拡大を目指す。12月7日から販売を開始し、端末単体の価格は7万円だが、同社のソリューションと組み合わせると5万円。導入数によるボリュームディスカウントなどにも対応するという。

PAYGATE Station

多様な決済手段への対応が特長

PAYGATE Stationは、一般的な形状のハンディタイプの決済端末だが、OSにはGoogleのAndroidを採用し、大型のディスプレイを搭載する。側面に磁気ストライプ、下部にICリーダー、上部に非接触リーダーを搭載しており、例えばクレジットカードを指定すると、スワイプ、PIN、NFCのタッチ決済という3面待ちとなるので、使い勝手がいい。

製品の本体カラーは2色をラインアップ
クレジットカードは3面待ち。UIも分かりやすい
UIはAndroid標準。アプリを追加することで機能を拡張できる
プリンタも備え、SMSやメールでレシートを送信することも可能

本体底部にはカメラを搭載しており、QRコードの読み取っての決済にも対応できる。サーマルプリンターや、無線LAN、Bluetooth、4G LTEの無線機能も備えており、これ1台で決済の全てが完結する。

底面にはカメラを搭載
対応するQRコード決済

また決済端末として「世界で初めて」(同)、トレンドマイクロの組み込み向けセキュリティ機能を搭載したという。磁気ストライプやICを読み取ると同時に暗号化してゲートウェイに送信することで、安全性を高めた。

トレンドマイクロのセキュリティソリューションを搭載するほか、決済HSMとしてタレスを採用

対応する決済手段は、VISA、MasterCard、JCBといったクレジットカードの国際ブランド、VISAとMasterCardのNFCのタッチ決済、FeliCaを使った電子マネー、7種類のQRコード決済、Ponta、楽天ポイント、dポイントという3種類の共通ポイント。主要な決済手段はほとんど網羅した。

対応する決済手段

接続するアクワイアラも、クレディセゾン、三井住友カード、JCB、UCカードなど大手をカバーする。POSや基幹システムとの連携に関しても、Internet APIを用意して接続を容易にしたほか、今後に向け、有線、Bluetooth、無線LANを使った連携についても研究・開発を続けているという。

接続するアクワイアラ
今後連携機能を強化していく

キャッシュレス関連需要はさらに旺盛に

日本では、経済産業省らが音頭を取ってキャッシュレス化比率の拡大を目指しており、さらに店舗側にはカード番号非保持、P2PE(Point to point Encryption)への対応も必要となっている。インバウンドの外国人旅行者は拡大の一途であり、2019年はラグビーワールドカップ、2020年には東京オリンピックと国際スポーツイベントが相次ぐため、現金以外の決済への対応の必要性が増々高まっている。

キャッシュレス対応のソリューションは多岐にわたってしまっており、それら全てに対応でき、かつ簡単に使える決済端末が求められていた。今回の製品は大手だけでなく、中小の店舗なども一台でカバーでき、容易にキャッシュレス対応ができるとして、ロイヤルゲートでは3年間で10万台の販売を目指していく。

11月1日に開かれた製品発表会には、ビザ・ジャパン、NTTドコモ、楽天、LINE Pay、PayPay、ロイヤリティマーケティングなどがパートナーとして登壇し、同端末への期待をにじませる。例えばNTTドコモは、クレジットカードプラットフォームのiD、クレジットカードのdカード、おサイフケータイ、QRコードのd払いに加え、LTEネットワークも提供しており、この全てに対応するPAYGATE Stationとの親和性が高い。

たとえばLINE Payでは、QRコード対応のハンディ端末に加え、今回のPAYGATE Stationを追加することで、幅広い決済に対応する
2011年からロイヤルゲートのペイメントパートナーであるGMOフィナンシャルゲートが認識するPAYGATE Stationのメリット

ロイヤルゲートでは自社のソリューションとの組み合わせによる端末販売も行うが、パートナーが自身でサービスと端末を販売することも可能で、ドコモのような親和性の高いパートナーが独自に販売することもありえるだろう。

そのため、パートナーによっては端末を安価にしてソリューションや手数料などで回収するといったビジネスモデルも提供できるため、今後各社のソリューションにも期待が持てそうだ。

ゲストに登場したパートナー各社の代表者。右からロイヤリティマーケティング上級執行役員営業統括グループ長・野田和也氏、PayPay副社長・馬場一氏、LINE Pay取締役COO・長福久弘氏、トレンドマイクロ上席執行役員・大場章弘氏、ロイヤルゲートCEO・梅村氏、ビザ・ワールドワイド・ジャパン テクニカルデベロップメント ディレクター・今田和成氏、楽天 楽天ペイ事業部シニアマネージャー・中村龍信氏、NTTドコモ プラットフォームビジネス推進部ペイメントビジネス担当部長 伊藤哲哉氏、GMOフィナンシャルゲート代表取締役社長・杉山憲太郎氏

大和ハウスが決済ソリューションを提供する意味

ロイヤルゲートは、大和ハウス工業が今年4月に買収したベンチャー企業だ。大和ハウスは住宅建設だけではなく、賃貸管理、商業施設、流通店舗など、幅広い事業領域をカバーしており、例えば賃貸の家賃決済でクレジットカード対応する場合や、同社が手がける商業施設での店舗決済などで、ロイヤルゲートの決済ソリューションが利用される。

すでに、グループの大和リースによる商業施設「BRANCH札幌月寒」で導入が決まっているほか、大和ハウスフィナンシャルの契約・精算サービスでの活用など、グループのシナジーを生かしたソリューションを提供していく計画だ。

大和ハウスグループはこれまで、基本的にフロービジネスで都度課金の仕組みが中心だったのに対して、決済をはじめとしたソリューション提供による継続課金でのストックビジネスにも注力していきたい考え。その一環として、今回の決済端末の成否は小さくない意味を持つことになる。

(小山安博)