インテルは10月11日、インテル テクノロジー・ショーケースを開催。新しい技術の紹介と共に第9世代インテルCore iシリーズのデスクトップ製品を発表しました。

インテル 執行役員 マーケティング本部長の山本専氏は2018年6月のプレスセミナーの際に紹介した「世界のPCトレンド」のスライドを引用。現在インテルが注力している4つの分野のうち、e-Sportsとコンテンツ制作という2つのハイエンド市場に向けた新製品を発表しました。

  • インテル 執行役員 マーケティング本部長の山本 専氏。手にしているのは第9世代Core i9のモックアップです

  • 6月のプレスセミナーで示した「世界のPCトレンド」。左2のつがコンシューマー系の話で、ゲーミングとデジタルコンテンツというハイエンドPCが伸びています

  • 過去3年間のゲーミングPCの販売の伸びは大きく、またオーバークロックに対応する「アンロック」製品も伸びています

「若者のPC離れ」のような言葉が出ているPC業界ですが、勢いがあるのがゲーミングPCで、10万円を超える高い製品ながら売り上げを大きく伸ばしています。また、コンテンツ制作分野でも早く作業を終えられるハイエンドCPUを搭載したPCはプロのみならず、プロシューマーや一般クリエーターにおいても買替サイクルが短いと言います。

  • クリエーターにとって早く仕事ができるPCは商売道具ゆえに、最新の環境への移行が早いのも販売側にとっては魅力的です

クリエーター向けにはインテルXeon W-3175Xプロセッサを紹介。これは28コア56スレッドという超大量の処理能力を持ちます。

ゲーマー向けには第9世代のCore iプロセッサを紹介しました。もっともハイエンドのCore i9-9900Kプロセッサは(Core Xシリーズではない)量産CPUとして初の5GHzを達成した8コア16スレッドのCPUです。

さらにCore Xシリーズプロセッサと合わせて合計11製品を紹介しました。発売はCore i9-9900K/Core i7-9700K/Core i5-9600Kプロセッサは先行予約を開始、コンテンツ製作プラットフォーム向けのCore Xシリーズ Core i9-9980XE/9960X/9940X/9920X/9900X/9820X/Core i7-9800Xは11月に提供を開始します。

コンピューティングパワーの必要な28コアのXeon W-3175Xは12月から提供を開始します。今回発表されたCoreシリーズはすべてオーバークロック制限のない「アンロック製品」となっています。

  • 第9世代となるCore iプロセッサはまず全製品アンロックで登場します

  • 最上位のCore i9-9900Kはついに量産5GHzとなります。パッケージも従来のイメージと大きく異なります

今回はデスクトップ用とはいえ、ゲームが早く快適にという点を強くアピール。これはいままでのCPU発表会にはなかったポイントでした。9月に秋葉原で行われたイベントも「PCがあるとゲームはもっと楽しくなる。」をテーマにしていました。今後のコンシューマー向けイベントはしばらくe-Sportsを絡めた感じになりそうです。

ハンダ「復活」で冷却効率をアップ。ターボブースト時間を延長

続いてインテル 執行役員常務 技術本部 本部長の土岐英秋氏が新製品の技術的な側面を紹介をしました。

  • インテル 執行役員常務 技術本部 本部長の土岐英秋氏

今回紹介された製品はすべて極めて高い性能を持っていますが、ゲーマー向けに設計されたデスクトップ向け第9世代Coreプロセッサファミリーは最大8コア16スレッドと定格3.6GHz、インテルターボブースト2.0使用時5.0GHzを実現しています(Core i9-9900Kの場合)。PCIeは40レーン、メモリはDDR4-2666MHzが2chとなっています。

  • Core i9シリーズの特徴とブロックダイヤグラム。第8世代同様に300シリーズチップセットが利用可能で、新たにZ390チップセットも登場します

従来の300シリーズチップセットにZ390チップセットを新たに加えました。もちろんOptaneメモリーとOptane SSDにも対応。Z390ではUSB 3.1 Gen.2をネイティブでサポートしている点も特徴です。

ターボブーストをうまく働かせるためには放熱効率を上げる必要がありますが、今回のCPUではSTIM(Solder Thermal Interface Materialの略)を復活させました。CPUはダイの上にヒートスプレッダが付いていますが、この隙間をハンダで埋めたのがSTIMです。

  • CPUダイとヒートスプレッダの間は熱伝導性に優れるハンダを使うSTIMが復活しました

以前のCore iシリーズもSTIMでしたが途中からTIMの素材がグリスに変わっていました。それが、今回パフォーマンスアップのために復活しています。冷却がうまくできれば、より長い時間ターボブーストが機能するので、STIMになったのは魅力的でしょう。

  • 第9世代Core iシリーズはアンロックの3製品でスタートです。Core i9以外はハイパースレッドがありませんが、コア数が多いので前世代よりもパワーアップしています。参考価格はi9-9900Kが488ドル、i7-9700Kが374ドル、i5-9600Kが262ドルとなっています

  • 性能比較のチャート4つがゲームと大きくゲーム性能をアピールしています。一番右はコンテンツクリエーターに向けたアピールです

また、Xeon W-3175Xと(8コア以上の)Core Xシリーズは、メッシュアーキテクチャを採用しています。コア数が増えても効率が落ちにくい設計です。

  • 28コアのXeon W-3175Xの特徴とブロックダイヤグラム。サーバ用のCPUを投入します

  • Xeon W-3175Xの最高クロックは4.30GHzですが、28コアの力で他のCPUを圧倒するとしています

  • Core Xシリーズは8~18コアとパワフルです

  • Core Xシリーズは7製品が登場します。参考価格は米ドルで589~1979ドルとなっています

  • メッシュ構造は従来のCore Xシリーズから引き続きです

展示の様子を写真で見る

  • 展示されていたメーカー製PC群

  • 参考出品されたCore i9-9900K採用PCの展示。エプソンダイレクトのMR8100後継モデル

  • インバースネットのFRONTIRE FRGRH370/LEN

  • ProjectWhite(ツクモ)のG-GEAR GA9J-G181/2T

  • ユニットコムのiiyama PC LEVEL∞ 父ノ背中推奨PC LEVEL-R039-i9K-XYVI-FB

  • マウスコンピューターのDAIV-NG7630シリーズ

  • マウスコンピューターのG-Tune MP-i1730シリーズ

  • 参考出品されたCore i9-9980X採用PCの展示。ユニットコムのiiyuama PC SENSE∞ SENSE-R42A-LCi9XE-RNKI-CMG

  • ProjectWhiteのワークステーションモデル

  • テクノロジー・ショーケースなので他の展示もありました。最近の「重いゲーム」としてPUBGをプレイしつつストリーミング(右のマシン、左は配信先画面)。余裕のフレームレートです

  • WiGigを使うことでVRヘッドセットもワイヤレスに。これでPCを背負ったり、ケーブルに煩わせる事もなくなります

  • Thunderbolt 3のデモ。中央の白いPCから、左と上のモニターに4K表示が可能です。さらにThunderbolt 3対応のストレージもありました(下のPC間にある銀色のもの)

  • Thunderbolt対応ケーブルを使えば超高速40Gb/sの転送が可能です。目印はこの矢印付イナズマロゴ。手前と奥でコネクタの長さが違うのは、奥のケーブルは長いのでICチップが入っているためです