写真が好きでたくさん撮るけれど、印刷はめったにしない……。デジタルが当たり前の昨今、せっかく撮った写真をスマホやパソコンの画面でしか見ていない人も多いかもしれません。しかし一方で、写真に限らず画像やイラストを印刷してオリジナルグッズを作るなど、自分の好きな世界をアナログで表現してを楽しんでいる人たちも、女性や若い世代を中心に増えています。

そうした創作意欲のある若年女性をメインターゲットにした新しいプリンターがキヤノンから登場しました。スマホ専用のミニフォトプリンター「iNSPiC PV-123」です。その画質や使い勝手はどうなのか、製品レビューをお伝えしましょう。なお、筆者は若年でも女性でもないので、メーカーが想定しているターゲットからは大きく外れますが、かろうじて創作意欲だけは旺盛です(笑)。

  • キヤノンが発売したスマホ専用のミニフォトプリンター「iNSPiC PV-123」。実売価格は税別1万5300円前後

手のひらサイズのボディ、バッテリーで駆動

まずは、製品の概要を確認しておきましょう。iNSPiC PV-123は、スマホに保存した画像を簡単にプリントできる小型プリンター「iNSPiC」シリーズの第一弾となるモデルです。本体サイズは縦118×横82×高さ19mm、バッテリー込みの重量は160g。モバイルプリンターとしてはかなり小型軽量であり、スマホ+1台分ぐらいの感覚で気軽に持ち運ぶことができます。

  • 手のひらサイズの薄型軽量を実現。ライバル製品ともいえる富士フイルムの「スマホ de チェキ」に比べても格段に薄くて軽い本体です

電源は、内蔵のリチウムイオン充電池を利用します。本体側面にあるマイクロUSB端子から充電し、約90分のフル充電で20枚の印刷ができます。

  • 本体の側面に電源ボタンや、充電用のμUSB端子を装備。スマホとの接続はBluetooth経由で行います

プリントの方式は、ZINK社の「Zero Ink Technology」を採用しています。ベースとなるペーパーの上にシアン、マゼンタ、イエローの各発色層が備わっており、これらの染料を熱で溶かすことで色が浮かび上がる仕組みです。そのため、インクカートリッジ不要でプリントできるのです。

専用ペーパーは、表面がコート層で保護された光沢仕上げになっています。印刷後にペーパーを乾燥させる必要はなく、そのままの状態で防水性のある光沢プリントが得られます。

  • 専用ペーパー(写真左)は、20枚入り(税別900円前後)と50枚入り(税別2,150円前後)を用意する

  • 印刷の手順は、まず本体カバーをスライドして取り外し、用紙をセットします

  • 用紙のパッケージにはブルーシートが1枚入っているので、これを下に敷いて用紙をセットします。ブルーシートは自動的に読み取られ、iNSPiCに最適化された発色で印刷できるようになります

  • 次に、スマホアプリ「Canon Mini Print」を起動し、プリンターとBluetoothで接続します。このアプリでは、写真の選択と加工、印刷ができます

  • カメラロールの写真を一覧表示にして、印刷したい写真を選びます

  • ストレートに印刷する場合は、写真を選択してから右上の印刷ボタンをタップします

  • すると印刷がスタートし、最短約50秒でプリントが出力されます。プリントした直後から鮮明な発色が楽しめ、色が出てくるまで待つ必要はありません。肝心の発色はかなり鮮やかで、不自然さはあまり感じませんでした

印刷されたプリントは、色鮮やかな仕上がりです。階調の再現域はあまり広くなく、シャドウ部がつぶれたり、ハイライト部が飛んだりしやすい点には注意が必要ですが、メリハリ感のある見栄え重視の出力といえます。

用紙サイズは5×7.6cm。タブレットやスマホの画面よりも小さく、一般的な名刺やクレジットカードよりもおよそ一回り小さいサイズになります。用紙はすべてシールになっており、手帳などに手軽に貼り付けられるのは便利だと感じました。

  • 用紙の裏面がシールになっていることも見逃せません。プリントシール機の感覚で、撮影と印刷が楽しめます