CVSのApple Pay対応はもう一つの意味を持つ。それは、小売チェーンにおける独自モバイル決済の挫折だ。

CVSはApple Payがローンチした2015年当初は参加せず、独自の「CVS Pay」を展開していた。筆者が住んでいる近所にもCVSの店舗があり、2015年当時から既に非接触ICを受け付ける端末がレジに備え付けてあったが、Apple Payなどのモバイル決済は利用できない状態だった。

CVS Payは、CVSアプリの中で稼働する二次元バーコードを利用したモバイル決済サービスで、CVSによるリワードサービス「Extra Care」の会員バーコード読み込みと決済を1度で行える利便性をウリにしていた。

Extra Careは処方箋との連携にも対応しているため、常用している薬の追加購入や、処方された薬の詳細についても、会員サービスから確認できる仕組みだった。ちなみにバーコードでの決済部分は、小売チェーン連合で策定した「CurrentC」によって提供してきた。

CurrentC陣営はスーパーマーケットチェーンWalmartや家電量販店Best Buy、ドラッグストアチェーンRite Aidなどによって構成されていたが、2016年6月にテストサービスを以て終了となってしまった。これにより、Best BuyやRite Aidは早々にApple Pay対応を打ち出していたということになった。

WalmartやCVSは引き続き独自決済規格を模索してきたが、CVSは見切りをつけてApple Pay陣営へ合流する結果となった。