カシオ計算機の名誉会長、樫尾俊雄氏(故人)の名を冠した樫尾俊雄発明記念館にて、体験教室「発明家になろう ~発明アイディアワークショップ~」が開催されました。これは、樫尾俊雄発明記念館で開催中の夏休み特別展示とともに行われる、体験教室のひとつです。その様子をお伝えしましょう。
なお、特別展示と体験教室は予約制ですが、夏休み中(8月31日まで)はまだ空きがあります。詳細は樫尾俊雄発明記念館のWebサイトで確認してくださいね。
会場の樫尾俊雄発明記念館は、カシオ計算機を育て上げた樫尾四兄弟の中で随一のアイディアマン、樫尾俊雄氏の功績を称えて2013年5月に設立されました。樫尾俊雄氏の自宅だった建物の一部を、記念館として公開しています。館内では、世界初の小型純電気式計算機「14-A」をはじめとした計算機の数々、腕時計、電子楽器といった“カシオの歩み”を見学できるほか、樫尾俊雄氏が多くの発明を生んだ書斎にも入れます。
今回の体験教室「発明家になろう ~発明アイディアワークショップ~」、参加対象は小学生の子どもたちとその保護者。各回とも10名を上限としたプログラムです。取材した体験教室には、男の子が3名、女の子が1名、計4名の子どもたちが参加していました。
本格的な体験教室スタートの前に、まずは参加者の皆さんで記念館を見学。「発明の部屋」と題された部屋にて、世界初の小型純電気式計算機「14-A」を実際に動かしてみます。そう、最初に作られたのが1957年という14-A、稼働する実機が現存しているのです。子どもたちから「おおー!」と感嘆の声が聞こえ、解説員の説明にも聞き入っていました。
しかも「今回は特別だよ」と、科学技術用計算機の元祖とも称されるリレー式プログラム機能付き計算機「AL-1」も起動! 実際に計算させ、みんなの気分が盛り上がったところでワークショップがスタート。
G-SHOCKの開発ストーリーをヒントに発明
ワークショップでは、最初にカシオ計算機という企業について簡単なレクチャーがあったほか、樫尾俊雄氏の発明品について紹介がありました。そして、テーマは「G-SHOCK」開発ストーリーに移ります。
G-SHOCKを開発したのは、カシオ計算機の伊部菊雄さん。伊部さんが高校生のころ、親から買ってもらった時計を落として壊してしまいました。悲しみに暮れるなか「丈夫な時計を求める人は多いのでは?」と発想を得て、落としても壊れない丈夫な時計を世に送り出すべく、開発がはじまりました。
でも、何度も何度も実験を繰り返すものの、上手くいきません。思い悩む伊部さん、あるとき公園でボール遊びをする子どもを見て閃きました。ボールの中に、時計のモジュールが浮かんでいることが見えたのです。この耐衝撃構造が、G-SHOCKの原型です(基本的な構造は今でも受け継がれています)。G-SHOCKは、2017年8月に世界累計の出荷が1億個を越えました。
――と、G-SHOCKの誕生秘話から、発明のために必要な「誰かが困っていることに気が付くと発明のきっかけが生まれる」「誰かの真似ではなく最初に創る」「いろんな方法を模索して試してみる」ということを小学生に優しく伝えるスタッフ。
いよいよこのワークショップで取り組むテーマが発表されました。「誰かの役に立つ時計を考えてみよう!」。世界各国に根強いファンを抱える、タフネス時計「G-SHOCK」が誕生した経緯や着想に触れ、子どもたちは小学生らしい自由闊達なアイディアや想いが詰め込まれた時計を“発明"します。
“誰の役に立つか”から考えを進め、“その誰かはどんな機能があると嬉しいのか”といったディテールの部分まで落とし込んでいけるよう、みんなでディスカッション。「お母さんに役立つ時計」や「自分に役立つ時計にしよう」など、夢や想像がふくらみます。配布された画用紙に向き合って、自身が考えた時計を描いていく……。その姿は、まさに真剣そのもの。
参加する子どもたちだけでなく、付き添いの保護者も一緒に楽しめるこの体験教室。8月8日には「はなうた作曲教室」、8月21日には「新聞をよみとこう ~電子辞書で楽しく学ぶ~」、8月24日には「電卓分解組立教室(※満員につき募集締切)」と、バラエティに富んだワークショップが予定されています。詳細や申し込みについては、樫尾俊雄発明記念館のWebサイトをチェック。
また、今回の体験教室「発明家になろう ~発明アイディアワークショップ~」と同様に、「人の役に立つもの」や「日常の生活に便利なもの」、「未来の世界であったらいいなと思うもの」のアイディアを競う「カシオ・ワンダーキッズ発明アイディアコンテスト」も開催中。応募の受付期間は9月14日までなので、夏休みの取り組みとしてコンテストにチャレンジしてみては?