7月28日、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)傘下となった島根富士通で、夏休み恒例の「パソコン組み立て教室」が開催されました。
既報の通り、本来は親子でPCの仕組みを学べる、裏表のない楽しいイベントなのですが、この2018年夏はその裏番組として、あるプロジェクトが極秘に(?)遂行されていました。組み立て教室開催の1カ月前に降ってわいた謎企画、「メディア対抗、PCデザイン対決」です。
「メディア対抗、PCデザイン対決」は、マイナビニュース・デジタル、PC Watch、Engadgetの3媒体が、今回組み立てるLIFEBOOK WU2/B3の天板とベゼル上下、パームレスト部をデザインし、組み立て教室に参加した子どもたちが好みのデザインに投票。最も得票数の高い媒体に、デザインしたPCを贈呈する……という企画。発表日まで、他の媒体のデザイン状況はわかりません。
企画の話が持ち上がったのは、イベント開催からちょうど1カ月前のこと。最初は話半分で聞いていたので、FCCL広報A氏がニヤリとほくそ笑みながら(想像)連絡してきたときには、「あ、本当にやるんだ……」となんともいえない気持ちになりました。
天板デザイン会議・その1
PC業界に8年ほど浸かってきた筆者ですが、幸か不幸かノートPC天板のデザインに関わったことは一度もありません。業界歴ウン十年のデジタル編集部・林編集長も同じような状態です。ましてや投票を募る相手は小学生や中学生がメイン。どうすればいいの……ということで、いち編集部員の筆者とデジタル編集部・林編集長、そしてマイナビニュースの原口総編集長を加えた対策会議が、編集部の一角で開かれました。
とはいえ、子どもの心を太古の昔に置いてきた中年3人組。「いやーどうします? デザイン」「まず路線がさ、スマートな感じでいくか、インパクト重視でいくか」「幾何学模様とかどうかな」「Engadetはカッコいいロゴ推しで来そう」「Watchは意表を突いたデザインだと思う」「マイナビニュース……マイナビニュースとは……」などと不毛な議論を繰り返していました。
その中で、まだ少年の心がひとかけらほど残っていた林編集長が「これは対抗心燃えちゃうなー!」などと盛り上がり、普段の穏やかさからは想像つかないはしゃぎっぷりを見せる一幕もありましたが、アイデアが出ては消え出ては消え、まったくデザインが決まりません。三人寄れば文殊の知恵? 船頭多くして船山に登る?
天板デザイン会議・その2
「やっぱさ、マイナビニュースには『ベア』がいるじゃない。ベアでいこうよ」。
特に進展を見せないまま迎えた第2回のデザイン会議で、原口総編集長が放った鶴の一声。ああ~ベアね! いましたベア。マイナビニュースのマスコットキャラクターで、そのデザインは意外や意外、キャラクターデザインや漫画家、イラストレーターなどで大活躍中の平尾リョウ先生が手がけています。漫画「くまにっぽう」が連載されていた過去もあり(残念ながらいまは終了)。社内外でも「癒やされるよね」と評判(筆者調べ)。ゆるキャラグランプリにも出場経験あり。ウーム、確かにこれはいけるのでは! 選ぶのは小学生、中学生がメインの子どもたちいうこともあり、キャラクターものは刺さるはず!
特製「マイナビベアPC」が爆誕
デザインが決まったあとは、工場で必要な加工が行われるため、実物を見る機会は当日までありません。PC組み立て教室では参加者にまざり、各メディアがそれぞれ、自分たちがデザインしたPCを組み立てました。マイナビニュースがデザインした「LIFEBOOK WU2/B3」はこちら。
天板には、マイナビベアの顔を大きく印刷。本当は、マイナビベアの顔の周りにある枠(ベゼル)を、天板の外周と合わせたかったのですが、ベゼル上のさらに上に耳が出ているのと、マイナビベアは自分の手で枠を支えているという設定のため、断念しました。ベゼル右下とパームレスト左には、ポーズを取っている小さなマイナビベアを配置。加工は、いざとなればはがすこともできる「カッティングシート」を選択しました。
ちなみに今回の対決では、天板に直接印刷する「インクジェット印刷」、レーザーで素材自体を彫り込む「レーザーカッティング」、剥がれにくいステッカーを貼り付ける「カッティングシート」の3つの加工が選択できましたが、FCCLの直販サイト「Webマート」で提供している天板印刷サービスではインクジェット印刷のみ提供されています。
天板デザイン対決、1分アピール
組み立て教室当日がやってきました――。3媒体とも、この日に初めて自分たちがデザインしたPC、そしてほかの媒体がデザインしたPCを目にしました。
PC Watchが出してきたデザインは、出雲にゆかりのあるシンボルやアイテムを散りばめ、特定のキャラクターを探し出すという意表を突いたデザイン。デザインしたPCを紹介するアピールタイムでは、「PC自体が、コミュニケーションのきっかけになるデザインにした」と意図が語られ、正直やられたと思いました。
リアルイベントを多く手がけ、媒体の固定ファンも多いEngadgetは、ロゴ押しのクールなデザインで来るかと予想していたのですが、現れたのは、トロフィーのような、王道のかっこいい系デザイン。「パソコンは一人一台持つもの。毎日持ち歩いて使ってもらいたいなということで、高級感を大事にした」とアピールしました。
果たして結果は?
どのパソコンが一番支持されるのか? 投票タイム開始です。組み立て教室に参加した子どもが、気に入ったパソコンの前に集まり、最も多い人数が集まったデザインが優勝っ……!!
Engadgetに集まったのは男の子10人、対するマイナビニュースは、PC組み立て教室に参加した女の子が全員来てくれたものの、9人と僅差で敗北。選ばれたのはEngadgetでした。PC Watchは男の子2人の投票でしたが、個人的にはアイデアも含めて一番してやられた感がありました。負けたメディアのPCはそのまま解体される憂き目にあいます。いまごろは天板の「マイナビベア」カッティングシートもはがされ、存在自体なかったことになっているかもしれません。つらみ。