キングジムがMakuakeを利用するのは、昨年(2017年)10月の「トレネ」以来、二度目です。

前回のトレネでは、プロジェクト開始からわずか3時間で目標金額を達成し、最終的に目標比1200%という驚異的な支援を集めました。キングジムでは、市場のニーズやユーザーからのダイレクトな反応を実感したそうです。

トレネは、目標金額の達成・未達成にかかわらず製品化する「All in」形式で実施されました。これは、いち早い情報発信や商品に対する要望や反応を得たり、ユーザーの要望を反映する狙いがあったからです。

一方、今回のkakumiruは、目標金額に達しない場合は製品化しない「All or Nothing」形式。クラウドファンディングの活用を一歩進め、クラウドファンディングの結果で世に送り出すか出さないかを決めるという、需要調査の側面がより強くなっています。

企画を担当したキングジム 開発本部 商品開発部 デジタルプロダクツ課 リーダーの東山慎司氏は、「実はこの企画を社内で提案したところ、会議に参加した全員から反対されて製品化できなくなってしまいました」と明かします。

  • キングジムの新しい電子メモ「kakumiru(カクミル)」発表会

    キングジム 開発本部 商品開発部 デジタルプロダクツ課 リーダーの東山慎司氏

スマートフォンが巷にあふれる昨今、手書きでメモを取ったり、タスク管理したりは、スマートフォンでもできますよね。別途、それ用の文房具が必要とされるのかという指摘が相次いだそうです。

キングジムは、ハンディメモの「マメモ」や、電子メモパッド「ブギーボード」といった製品を展開しています。東山氏は、メモの電子化には一定需要があると、社内の説得を続けました。

そんな折、前回のプロジェクト「トレネ」が好評だったことから、再びクラウドファンディングに挑戦してみてはどうかとなり、再びMakuakeとタッグを組んだわけです。

まだkakumiruの金型などは作っておらず、プロジェクトを達成して量産化することになった場合、順調にいけば、2019年4月か5月に、10,000円台前半のメーカー希望小売価格での発売になるだろうとのこと。

正直なところ、カレンダーや時計、電卓は、スマートフォンなりPCがあればコト足りるオマケ機能。メインはやっぱり、ToDoや目立たせたいメモを多目的なスマートフォンで管理するのではなく、卓上に据え置きして表示させておきたいというニーズに応えることでしょう。

そうした観点では、付箋紙にToDoを書いてディスプレイに貼っているようなユーザーには、まさにうってつけ。あるいは、スマートフォンを利用していない高齢者や、小学生の自宅にある学習机で使うのもよさそうです。

ただ、1万円の価格をどう受け取るかは、ユーザーの判断が分かれるところ。スマートフォンユーザーが多いはずのクラウドファンディングに露出するのも、少し疑問が残ります。

筆者としては、メモやToDoを電子化するメリットは、アラームと融合することよりも、蓄積して分析できることのほうが大きいと感じます。なので、microSD経由での書き出しにはメモもToDoも対応してほしいし、できればWi-FiでスマホやPCとデータ共有できればなおよしです。

とはいえ、そこまですればコストアップは確実。今回のプロジェクトが無事に成功し、量産化してコストダウンと機能向上が図られることを期待します。

  • キングジムの新しい電子メモ「kakumiru(カクミル)」発表会

    本体正面

  • キングジムの新しい電子メモ「kakumiru(カクミル)」発表会

    本体右側面

  • キングジムの新しい電子メモ「kakumiru(カクミル)」発表会

    本体左側面

  • キングジムの新しい電子メモ「kakumiru(カクミル)」発表会

    本体底面

  • キングジムの新しい電子メモ「kakumiru(カクミル)」発表会

    本体上面

  • キングジムの新しい電子メモ「kakumiru(カクミル)」発表会

    本体裏面

  • キングジムの新しい電子メモ「kakumiru(カクミル)」発表会

    裏面の電池カバーを外したところ。電池駆動なので電源ケーブルが要らず、デスクの上をすっきりできる