説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『iPhoneは最新のBluetoothに対応しているから音がいいの?』という質問に答えます。

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なにから話せばいいか……Bluetoothについて、いろいろ誤解があるようですね。まず、Bluetoothのバージョンと音質は無関係です。Bluetoothオーディオに使われる「A2DP」というプロファイル(Bluetoothにおける用途別のルール)は、Bluetooth 3までの規格(通称BT Classic)で動作しますから、Bluetooth 4か5かというバージョンの新しさに影響されることはありません。

iPhoneの場合、オーディオ信号出力時に使う符合化プログラム(コーデック)はペアリング中のBluetoothイヤホン/スピーカーに応じて自動選択されますから、音質を決める要素はオーディオのソース(サウンドファイルやストリーミングサービスの質)と、それを受信するBluetoothイヤホン/スピーカーによって決定されます。iPhoneにかぎらず、Bluetoothオーディオに対応するスマートフォン/タブレットは基本的に同じです。

そして、Bluetoothオーディオで利用されるプロファイル「A2DP」は、前述したとおりBT Classicで動作します。バージョン4以降のBluetoothは、それ以前のBluetoothと大きく仕様が変わり、互換性は失われています。いまなおA2DPは「Bluetooth 2.1+EDR」の範囲で運用されており、市販のBluetoothオーディオ製品も同じ状況ですから、受信・送信側ともBluetooth 2.1+EDRに対応していればよく、Bluetooth 4か5かはオーディオ再生の品質に影響しません。

Bluetoothのバージョンが影響する例としては、iPhoneの位置や近さを知らせるなど、つねに周囲へ情報を発信し続ける機能が挙げられます。ワイヤレスでファイルや各種情報をやり取りする「AirDrop」の動作条件として、Bluetooth 4以降(Bluetooth LE)があるのはそれが理由です。

  • 現在のiPhone/iOSでいうかぎり、Bluetoothのバージョンはオーディオ再生の品質に影響しません