watchOS 5に用意された新機能の中で、「天気」アプリの強化は目を見張るものがある。基調講演では触れられなかったが、天気アプリには風向風力、紫外線量、そして空気の質といった新しい情報が表示されるようになった。その中でも風向風力と空気の質の表示は、昨年のカリフォルニアでの経験と、ある国とのつながりを見出せる。

  • watchOS 5で追加される新機能一覧で目についたのが天気アプリの機能向上だった

昨年の夏以降、カリフォルニアでは高温と干ばつによって、大規模な山火事が多発したのは記憶に新しい。サンフランシスコ周辺では北部にあるナパバレー、ソノマバレー、サンタローザといったワイン処が大きな被害を受けた。その際にベイエリアの人々が情報をあさったのが、空気の質の情報だった。

北に80km以上離れたエリアでの山火事の煙が、北風に乗ってサンフランシスコやシリコンバレー周辺に流れ込み、対策を余儀なくされたのだ。Amazonでは空気清浄機や高機能のマスクが売り切れ、学校は休校となり、煙の被害がないエリアへ避難する人もいた。実際筆者が住むバークレーでも、最も酷い時には、5分程度離れた店に歩いて行っただけで、バーベキューを楽しんだ後のように煙のニオイが服にしみこむほどだった。

そうした経験から、空気の質は生活情報として重要であるとの認識が拡がったことが、標準天気アプリへの採用につながったのではないか、と考えられる。また、日常的に大気汚染に悩まされている国である中国市場でも、この情報は有効であるように思われる。