米国時間の6月4日、Appleの開発者会議「WWDC18」が開催された。例年と比べるとやや地味な印象はあるものの、同社の製品を支える4つのOS製品にきちんとスポットが当てられた、丁寧な基調講演となった。
WWDCとは「World Wide Developer Conference」の略で、MacやiPhoneといったApple製品向けにソフトやハードを製造する開発者向けのイベントだ。Googleの「Google I/O」、Microsoftの「Build」などと並び、世界最大級の開発者イベントと言っていいだろう。
月曜から金曜まで、朝から夕方までみっちりと、いくつかの部屋に分かれた会場内でAppleの開発者がスライドなどを通じて次期OSに関する情報を提供してくれる。内容はビデオも公開されているので、会場まで行かなくても見ることはできるのだが、現地の独特な雰囲気は一度味わうとクセになるものがある。もっともここ10年ほどは超の付く人気イベントになってしまい、チケットも秒殺とあって、行きたくても行けない高嶺の花になってしまっている。学生には特別枠があるようなので、もし時間とお金に余裕のある学生開発者は、来年こそは応募してみてはいかがだろうか。
さて、基調講演にはおなじみのティム・クックCEOが登壇。大体こういった基調講演は数字の羅列から始まるが、WWDCもその例外ではない。Appleの登録デベロッパーが2,000万人を突破したこと、会場には6,000人、さらに数百万人がストリーミング中継を見ていること、App Storeは毎週5億人が訪れる世界最大のアプリ販売ストアであること、デベロッパーへのアプリ売り上げの支払総額が1,000億ドル(約11兆円!)を超えたことなどが紹介された。
ちなみに、最初にQuickTime 4によるWWDC基調講演の生中継が行われたのは1999年。当時のアップル広報によると、このときの参加者は2,000人以上、ストリーミング放送の視聴者は世界で約1万6,000件、日本からのアクセスは約1,000件だった。20年の間に数百倍の規模で注目される一大イベントになったわけで、当時「Appleはもうダメだ」とさかんに言われていたのがまったく嘘のような話だ。
基調講演は、Apple製品の柱となるOS群をそれぞれの担当者が紹介する形で進行した。すでに様々な記事で内容をご確認の方も多いと思われるので、筆者が個人的に興味深かった点を中心に紹介しよう。