iOS 12でデジタルアシスタントが、様々な場所で「提案」を示してくれるようになる。たとえば、写真の「シェアの提案」と「シェアバック (共有し返す)の提案」である。送別会などで写真を撮ると、デジタルアシスタントが写真を分析し、写真に写っている友だちに写真を共有するよう提案してくれる。シェアすると、今度は友だちのデバイスで友だちが撮影した送別会写真の中からユーザーが写っている写真をシェアバックするようにデジタルアシスタントが提案する。自分が撮った写真、友だちが撮った写真がもれなく効率的にシェアされる。
デジタルアシスタントに関しては、もう1つ「Siri Shortcuts」という便利そうな機能が加わる。Siriとアプリをつなぐワークフロー・ツールだ。Siriに「コーヒー飲みたい」と言うだけで、ワンタップでオーダーできる状態でPhilz Coffeeアプリが用意される、というようなことが可能になる。
音声アシスタントでは、米国においてAmazonのAlexaが大きなシェアを握っているが、Alexaの強みとなっているのがスキル(Skills)という機能拡張だ。すでに4万を超えるスキルが存在し、様々なアクションをAlexaを通じて起こせる。Shortcutsはスキルに対抗するものと言えるが、Shortcutsもスキルのように増えていくだろうか?
Shortcutsの特徴の1つが、アプリのエディターを使って、ユーザーが独自のShortcutを作成できることだ。Macユーザーなら「Automator」をイメージすると思う。選択したファイルをまとめて変換するなど、時短ソリューションとしてパワーユーザーに人気のあるツールである。だが、ワークフローを組むのが難しくて一般ユーザーの利用は少ない。そのため、とても便利なのに、メジャーな機能にはなっていない。同じ問題をShortcutsも抱えることにならないだろうか?
Shortcutsは自作のワークフローだけではなく、対応するアプリからワンタップで簡単にワークフローを作成できる仕組みも用意される。また、Siriがユーザーのデバイス利用を学び、ユーザーが必要とするであろうShortcutをSiriが提案するようになる。それらなら、誰でも簡単にShortcutsを活用できる。
Shortcutsは、パワーユーザーを満足させられるぐらいパワフルかつ柔軟であり、普通のユーザーでも活用できるぐらい簡単でもある。音声アシスタントの課題の1つに「どのように頼んだら良いのか分からない」という問題があるが、Shortcutsは音声コマンドをユーザーが覚えやすいという特徴も持つ。Shortcutが増えれば、Siriがより便利になる。Siriに頼むことが増えたら、Shortcuts作成に挑戦するユーザーが増えるだろう。そんなプラス循環につながれば、Siriの成長が加速する。