さて、次はGPU側の話。まずRadeon RX Vega 56 Nanoだが、2017年7月末の「Radeon RX Vega/Ryzen ThreadRipperの発表](https://news.mynavi.jp/article/20170731-amd/)時に、謎のNano(Photo10)が公開されていた。
これと今回のRadeon Vega 56 Nanoの違いについて、Marinkovic氏は「あれはコンセプトモデルというかプロトタイプであって、動作プロファイルなどは全く異なる。ただ外形寸法などは同じ」と説明した。
そのRadeon Vega 56 Nanoは、構成としては56CUではあるが、動作プロファイルがRadeon RX Vega 56とは異なるという話であった。またVega 56ではなくVega 64ベースのNanoは「技術的には可能だが、現実的とは思えない」との返事。
Nanoのフォームファクタでは放熱が厳しいので、動作周波数をかなり絞らざるを得ず、そうなると性能が相当下がることになる。それならVega 56の方が現実的、ということらしい。ちなみにまずはPowerColorから製品が投入されたが、別にPowerColorの独占と言うわけではなく、今後は他のOEMからも製品が出てくる可能性があるという。
12nmのGPUについて「現時点では話せることがない」
さて、今回は7nm Vegaの話に終始したGPUであるが、12nmプロセスを使った製品については、引き続き「現時点では話せることがない」と、黙秘に近い状況であった。
2017年10月のGTC(Globaldoundries Technology Conference)においてCTOであるMark Papermaster氏が"We plan to introduce new client and graphics products based on GF's 12nm process technology in 2018 as a part of our focus on accelerating our product and technology momentum."と述べており、何かしらがある(orあった)のは間違いないのだが、それを公表できる段階にはないようだ。
ただ7nm VegaはあくまでRadeon Instinct向け製品であるとされており、少なくとも2019年中にConsumer向けに降りてくる可能性は低い(あっても2019年後半だろう)。そのため2018年後半から2019年にかけて、何かしらConsumer向け製品は必要であり、12LPPを使った製品が用意されるのは理にかなっているのだが、まだ準備が出来ていない様だ。
2017年はRadeon RX Vegaと第1世代Ryzen ThreadRipperが同時に発表されているあたり、この辺で何かしら出てくることを個人的には期待している。
7nm VegaはMLやPro Graphicsに特化した製品となりそう
ところでVega 7nmを使ったRadeon Instinctはこちらにもあるように"New Deep Learning Ops"とか"Hardware Virtualization"などが追加されている。単に現在のVegaを7nmに移行させただけではなく、NVIDIAのVolta同様、Machine LearningやPro Graphicsに特化した製品となりそうだ。
それはともかく、気になるのはHigh Speed Interconnectという記述だ。プロトコルそのものはInfinity Fabricになることは、発表会の時点で明らかにされているのだが、物理的には何か? というのが次の疑問だ。
今回これはPCIeなのか、独自バスなのか、それともCCIXなのかと確認したものの、「内緒(はぁと)」(意訳)という返事が戻ってきたのだが、Zen2コアベースのEPYCとVega 7nmベースのRadeon InstinctはそろそろCCIXを標準で利用可能とするのかもしれない。
CCIXもちょっと面白いことになっており、すでに実装が始まっているSoCの事例では、PHYがPCI Expressと共通になっている。要するにモードを切り替えて使えると言う話である。
ただ、Vega 7nmを利用するRadeon Instinctのフォームファクタが既存のPCI Expressのカードかどうかも明らかにされない(少なくともYesという返事が無かった)というあたり、ちょっと怪しいところではある。
そんなわけで、一番興味あるコンシューマ向けの新製品について、今回肩透かしに終わってしまったのはちょっと残念であった。