Appleは、今年の2月にホームスピーカー「HomePod」を発売した。音声アシスタント搭載のスマートスピーカーとしては、2015年から取り組んできたAmazon、2016年に参入したGoogleから大きく遅れての発売となった。
ただ、AppleはHomePodを「スマートスピーカー」というカテゴリで競合させようとせず、オーディオ製品としてアピールしている点は、単にマーケティング上のトリックとはいえない。スマートスピーカーで最も重要な機能である音声アシスタントのSiriが、Amazon AlexaやGoogleアシスタントに劣っている点で、直接的な競合を避けなければならない状況にあるからだ。
名称は同じSiriであるが、iPhoneとHomePodでは扱える情報が異なる。Appleの場合、個人的な情報を極力端末外に出さないというレギュレーションを敷いていることもあり、iPhoneのアプリにある情報でもHomePodでは簡単に利用することはできない。もちろん、なんらかのタイミングで実現する必要はあるだろうが。
これにより、ふだんiPhoneでさまざまなアプリを活用していて、その情報をHomePodでも利用したい…と考えているユーザーのニーズは取りこぼす結果となっている。そうした問題が見えていることからも、AppleはHomePodをスマートスピーカーではなくホームスピーカーとして訴求していると考えられる。