「FACE」を試す

もう1つは、Ryo Oshima氏による、FACEである。以下のAMOから、インストールしてほしい。

非常にシンプルな機能であるが、衣料品の通販サイトなどで、自分の顔を同時に表示し、実際に着たイメージを表現する機能拡張である。実際に実行してみたほうがわかりやすいだろう。インストールが完了すると、ツールバーに顔のマークのボタンが追加される。同時に、衣料品を通販するWebサイトに移動しておこう。FACEびボタンをクリックすると、メニューが表示される。

  • 図9 FACEのメニュー

まず、[show]をクリックする。サンプル用に前の米国大統領の顔が表示される。もし、自分の顔を表示したければ、画像データを準備し、適切にURLを設定すればよい。

  • 図10 顔が表示

このままでは、衣類とのバランスが悪い。大きさを[size]で調整する。ここでは、90くらいにしてみた。あとは、顔の写真を移動して、実際にその衣類を着用したイメージにする。

  • 図11 顔写真を移動

FACEのすごいところは、画面を縦横にスクロールしても、顔写真もシンクロしてスクロールするところだ。非常にシンプルな機能の拡張機能であるが、なかなかにおもしろい。実際に作者のRyo Oshima氏もこれをつかって、いくつかの衣類を購入したとのことである。

少し技術的な話になるが、Webにあるイメージと人間の顔のイメージをいかに自然に併置するかを考えたとのことである。たとえば、同じ人が別の場所で写った2つの写真のうち、顔だけを入れ替えると違和感が生じる。インバースレンダリングの考え方によれば、違和感の原因は光源の不一致だ。インバースレンダリングは画像から、写っているオブジェクトの形・反射特性・光源分布などレンダリングに必要な光学情報を推定する技術だ。今回のFACEでは、衣類と顔、形と反射特性の異なる2つのオブジェクトを、同じ場所で撮られたように違和感なく併置したいので、光源を似せればよい。衣類の撮影では、白色の平行光が使われる。生活の中でそれに近い照明は太陽光である。野外で自分のスマホで撮影したものであれば問題ないとのことだ。

  • 図12 撮影環境の再現

インバースレンダリングは、画像処理やARでの光学的整合性問題の解決に応用されている。非常に楽しい拡張機能であったが、背景にはなかなか、大きなテーマを含んでいたのである。