NHK放送技術研究所(以下、NHK技研)が最先端技術を一般公開する催し「技研公開2018」が24日から27日まで、東京都世田谷区砧の同社ビル内で行われます。8K放送など、近未来の姿を実感できるこのイベント、入場は無料です。体験イベントもたくさんあり、5月26日(土)や27日(日)に足を運んでみてはいかがでしょうか。ここでは、注目のブースをいくつか紹介しましょう。

  • NHK放送技術研究所「技研公開2018」

    NHK放送技術研究所による「技研公開2018」が24日から27日まで開催されます

NHK技研公開は、今年(2018年)で72回目。今回はNHK技研3か年計画(2018-2020年度)で掲げている「スマートプロダクション」「リアリティーイメージング」「コネクテッドメディア」を中心テーマにすえています。

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    技研公開2018の中心テーマは「スマートプロダクション」「リアリティーイメージング」「コネクテッドメディア」

まずスマートプロダクションでは、AIによる効率的な番組制作を目指します。例えば「音声認識による書き起こし制作システム」は、映像から人の会話部分を抜き出してテキスト化する新技術。

文字起こしであれば音声認識だけでも良いように思われますが、AIを絡めることで、様々な発話環境や収録条件、話し方にも対応できるようになったとのこと。これまで約4,500時間の音声とテキストを学習したそうです。この技術によって、記者会見、インタビューなどのスピーチ内容が自動で文字に書き起こされれば、あとは局内のネットワークで適宜微修正するだけで、取材原稿ができあがるという段取りです。

  • NHK放送技術研究所「技研公開2018」
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    現状ではニュース班、地域密着班などが個別に取材映像から文字起こしを行っています。本システムが実用化されれば、各班で協力して原稿を制作することも可能とのことでした

認識結果のテキストをクリックするだけで「元の映像」と「音声」を確認できるなど、インタフェースにも工夫が見られました。音声認識の誤りをすぐにチェックできる仕様です。“文字起こし”という事務的な処理をAIに任せてしまうことで、人間はより創造的な作業に注力できるはず。担当者は「正確で迅速な、そして多面的な番組づくりの助けになる」と説明していました。

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    発言内容はAIにより自動でテキスト化

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    テキストをクリックするだけで「元の映像」と「音声」が確認できるので、音声認識の誤りもすぐにチェックできます

「白黒映像の自動カラー化技術」でもAIを活用しています。従来、白黒映像をカラー化するには1フレームずつ人の手で色を塗っていく必要がありました。そのため数秒の映像にも数日を要していましたが、新技術なら半自動でカラー化されるため、数秒の映像なら数分で作業が完了します。

技術的には、NHKアーカイブスなどから収集した大量の番組映像をAIの学習データに利用。AIが色を推定し、代表となるフレームの色を他のフレームに伝播するといった作業を行っています。ちなみに、今年の8月に放送予定のNHKスペシャルでも、この技術でカラー化した白黒映像が放送されるそうです。

  • NHK放送技術研究所「技研公開2018」
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    AIを活用して白黒映像を自動でカラー化。作業に要する負担も最小限に圧縮できています