理化学研究所(理研)は、研究グループ「HAL QCD Collaboration」が、スーパーコンピュータ「京」を用いることで、新粒子「ダイオメガ(ΩΩ)」の存在を理論的に予言したと発表した。

同研究グループは、理化学研究所仁科加速器科学研究センター量子ハドロン物理学研究室の権業慎也 基礎科学特別研究員、土井琢身 専任研究員、数理創造プログラムの初田哲男 プログラムディレクター、京都大学基礎物理学研究所の佐々木健志 特任助教、青木慎也 教授、大阪大学核物理研究センターの石井理修 准教授らによるもの。同成果は米国の科学雑誌「Physical Review Letters」に掲載された

同成果により、素粒子のクォークがどのように組み合わさって物質ができているのかという、現代物理学の根源的問題の解明につながることが期待できるという。

クォークには、アップ、ダウン、ストレンジ、チャーム、ボトム、トップの6種類があることはすでに明らかににされている。陽子や中性子はアップクォークとダウンクォークが3個組み合わさって構成されており、3個のストレンジクォークからなるオメガ(Ω)粒子も実験で観測されている。3個のクォークからなる粒子(バリオン)は、これまで多数見つかっているが、6個のクォークからなる粒子(ダイバリオン)は、1930年代に発見された重陽子(陽子1個と中性子1個)以外には見つかっていない。

今回、同研究グループは、2個のΩ粒子間に働く力を「京」を用いて明らかにし、ダイオメガ(ΩΩ)の存在を予言した。これは、6個のストレンジクォークだけからなる最も奇妙なダイバリオンであり、重陽子の発見以来、約1世紀ぶりとなる実験的発見が期待されるとのことだ。