パナソニック サイクルテックが、電動アシスト自転車スポーツタイプの新製品を発表しました。電動アシストマウンテンバイクの「XM2」と、電動アシストクロスバイクの「XU1」で、どちらも7月2日に発売します。税別価格は225,000円からとなっています。

  • パナソニック サイクルテック、電動アシスト自転車スポーツタイプ

    パナソニック サイクルテックが電動アシスト自転車スポーツタイプの新製品を発表。発表会のゲストは片山右京さんや平野由香里さん

電動アシストマウンテンバイク「XM2」

XM2は、国内初となる内装2段変速マルチスピードドライブユニットを搭載したモデル。ハンドルに搭載されたボタンを操作すれば、電子制御ですばやく変速できます。4つのモード(HIGH・AUTO・ECO・NO ASSIST)と、内装2段×外装10段のギヤによる、計80通りからシーンに合わせた走行が可能です。

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  • 国内初となる内装2段変速マルチスピードドライブユニットを搭載したXM2

ところで、チェンジできるギヤが多いと「外れてしまわないか」と不安を感じるかも知れません。XM2はギヤが常に噛み合う構造で、このためチェーン外れが起きる心配がないのです。

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  • ハンドルのボタンで操作、電子制御でギヤが変わります。変速時間はたったの0.5秒

XM2は、より本格的なトレイルライドを楽しめるe-MTBとして開発されており、20%以上の急勾配にも対応。山登りをするときも心強いでしょう。搭載するセミインテグレーテッドバッテリーは、従来比1.5倍の大容量を実現。約4.5時間の満充電でHIGHモードでは約61km、AUTOなら約75km、ECOなら約107kmの走行を可能にしています。

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  • センター液晶ディスプレイと操作ユニットの様子

カラバリはマットチャコールブラックのほか、特別色のフラットアクアブルーを初回20台限定で発売します。税別価格は380,000円です。

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    限定20台で発売されるフラットアクアブルー。販売方法については未定とのことでした

電動アシストクロスバイクの「XU1」

一方、XU1は街乗りに適したモデル。走りが軽くクッション性に優れたワイドタイヤを採用、アルミ製のCarrier&Fenderにはパニアバッグ(別売り)を装着することも可能です。

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  • 街乗りに適したXU1

カラバリはシャインパールホワイトとマットロイヤルブルーを用意。税別価格は225,000円となっています。

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  • 写真はマットロイヤルブルー。アルミ製のCarrier&Fenderには、オプションでパニアバッグを装着することも可能です

このほか、2017年に発売した電動アシストマウンテンバイク「XM1」(税別価格は330,000円)に対して、ハンドル幅を680mmに変更、前照灯をバッテリー給電式にするといった改善を実施。今後もXM2と併売していく予定です。

新たな市場を作っていく

パナソニック サイクルテックでは、市場の創造にも積極的に取り組んでいく方針です。「ハードを作って販売するだけの企業から脱却して、自転車の楽しみ方を自ら提案していきたい」と話すのは、パナソニック サイクルテック 代表取締役社長の片山栄一氏。

具体的な施策のひとつとして、サイクリングツアーの実施を検討しています。そこで全面的に協力するのは、インストラクターの平野由香里さん。彼女は、ツアーの魅力を「自転車なら、景色を最大限に楽しめます。仲間と一緒に季節を感じながら、かけがえのない時間を共有できます」と語ります。

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    パナソニック サイクルテック 代表取締役社長の片山栄一氏(左)と、インドアバイク&アウトドアインストラクターの平野由香里さん(右)

「実際にグランフロントから大阪城公園まで、往復コースを体験してきました」と片山氏。「自転車は運んでもらえるため、手ぶらで参加できます。途中、平野さんが用意したコンテンツを楽しみながらサイクリングして、最後はカメラマンが撮影した写真をみんなで見て終わる。そこまでがパッケージになっています」と解説します。パナソニック サイクルテックでは自転車の供給を行い、人を集める仕組みを構築していく予定です。

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    社長自ら、グランフロントから大阪城公園までの往復コースを体験してきたとのことでした

サイクリングツアーは、今年度中にもスタートする予定。ただ、5~6名レベルのものを積み上げていくため、収益面で与えるインパクトは決して大きくはありません。片山氏は「観光地でのレンタル、リース、ツアー事業、IoTも含めたサービス全体で考えていきたい。4年後には、売り上げの1割を占める事業にまで育てていきたい」と説明していました。

マウンテンバイクでレース競技を

また、パナソニック サイクルテックでは、マウンテンバイクを主役にしたレース競技を展開することで、利用人口を増やし、人々の理解を深めていき、ひいては走れる環境を整えていく、といったことも考えています。

ゲストに招かれた、全日本実業団自転車競技連盟 理事長の片山右京さんは「来シーズンからは、e-MTBでのヒルクライムや、耐久レースなども実現できたら」と話します。自転車なら、歩いてはいけない場所にも行ける。e-MTBなら、年齢を重ねて筋肉が落ちてきた人も冒険に出られる。住む世界が広がり、人としての可能性が拡大するでしょう、と笑顔で話していました。

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    全日本実業団自転車競技連盟 理事長の片山右京さん(左)と、パナソニック サイクルテック 商品企画部の金森修一氏(右)

ところで、市場ではロードバイクが主流で、マウンテンバイクは走れるフィールドも少ないのが現状です。パナソニック サイクルテックが、マウンテンバイクを軸にした理由はどこにあるのでしょう。

パナソニック サイクルテック 商品企画部の金森修一氏は「ターゲットにしているのは、40~60歳の世代。90年代に流行した、マウンテンバイクの楽しさを知っている世代でもあります。時間もお金もできたが、乗ろうとすると体力的な心配がある。そんな、マウンテンバイクの楽しさを潜在的に知っている人たちに展開できれば」と説明します。

現在の日本の法律では、電動アシスト自転車は時速24kmまでしかアシストできません。しかしロードレーサーともなると、速度域は時速30~40kmにも達します。このため、技術を活かせないジレンマがあるとのこと。その点で、電動アシストとマウンテンバイクは親和性が高いようです。

「山登りでは、時速10kmを切る速度で淡々と登っていきます。電動アシストが最大限に活きるシチュエーションでもあるわけです」と金森氏。将来的には、電動ロードバイクの展開も視野に入れているとのことです。