同社では、2018年度に予定していた液晶テレビの1000万台の出荷計画を2017年度に前倒していたが、これについても達成したという。「国内でもしっかりとしたラインアップを用意し、出荷台数を落とさないといった取り組みに加えて、海外市場での液晶テレビの販売台数が2倍以上になっているのが大きな成長の要因。中国での成長、欧州での再参入、ASEANでの成長がみられており、これらは、鴻海とシャープのシナジーによるものである」とし、海外でのテレビ販売の急成長ぶりを示した。
そして、2018年度業績見通しも、引き続き業績回復に取り組む強い意思をみせた。2018年度の業績見通しは、売上高が前年比19.1%増の2兆8900億円、営業利益は22.1%増の1100億円、経常利益は12.0%増の1000億円、当期純利益は13.9%増の800億円とした。売上高および営業利益は前年比2割前後の成長となる強気の計画だ。
シャープの野村副社長は、「2018年度の業績は、売上げ、各利益とも、2017年度に続き、大幅に伸長する見込みである」とし、さらに、「中期経営計画策定時に比べ、より保守的な想定為替レートを設定しているが、それでも、売上高、利益は、中期経営計画の想定水準を確保できる見込みだ」と自信をみせた。
ここでは、「海外市場における白物家電や、2017年末に発売した8Kカメラなどの新規商材、PCやタブレット、車載用の中型パネルなどの特長デバイスなどが計画を上回る見込みである。液晶テレビも中国だけでなく、ASEANでの販売増加が見込まれる」とし、為替に頼らない回復を強調してみせた。実は、もし、この計画が達成されたとすれば、電機業界ではひとつの変化が訪れる。NECが発表した2018年度の業績見通しは、減収減益の計画であり、売上高は前年比0.5%減の2兆8300億円。つまり、国内電機大手8社のうち、売上高7位のNECを、売上高8位のシャープが逆転し、最下位が入れ替わることになる。
さらに、シャープは、中期経営計画において、2019年度に売上高3兆2500億円、営業利益1500億円を目指しており、この達成に向けて意欲をみせる。次に超えるターゲットは、2018年度見通しで売上収益が3兆9000億円となる富士通だ。富士通は、PC事業や携帯電話事業を売却するなど、売上高を縮小させながらも利益体質強化を進めている。売上高を拡大させる強気の成長戦略を打ち出すシャープとは異なる経営戦略であり、この違いが中期的な電機大手の勢力図にどう影響するかも注目しておきたい。
では、今後の成長における課題はなにか。ひとつは海外ビジネスの成長である。野村副社長も、「日本の市場は伸びしろが少ない。海外をどう伸ばしていくのかが重要であり、ここに成長の軸足を置いていくことになる」とする。シャープの海外売上高比率は、2016年度には7割弱だったものが、2018年度には7割強へと拡大。これを、中期経営計画の最終年度となる2019年度には8割にまで持っていく計画だ。