最近の高速SSDは、コントローラーやフラッシュメモリの発熱も増加しており、連続動作させると温度がかなり上昇してしまい、パフォーマンスが低下する可能性がある。そのため、970 PROと970 EVOで採用されている新型コントローラ「Phoenix」では、表面にニッケルコーティングが施されている。

そこで、動作中のSSD温度を計測してみた。Iometer 1.1を使って、ランダムアクセス(リードとライト半分ずつ)を連続して行い、非接触温度計「N10IT001」を利用して、SSDの表面2か所(表側のラベルの型番部分と表側のコントローラー表面部)の温度を1分ごとに計測してみた。ヒートシンクは付けず、ファンの風も当てていない。結果は下の表にまとめた通りだ。

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    SSD本体、型番部分の温度推移

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    SSD本体、コントローラ表面の温度推移

970 PRO 1TBと960 PRO 1TBの比較では、970 PRO 1TBのほうが型番部分、コントローラー表面とも1~2℃程度高いという結果になった。また、970 EVO 1TBと960 EVO 1TBの比較についてもやはり、970 EVO 1TBのほうが2~3℃高いという結果。

新モデルの970 PRO・EVOが搭載するPhoenixコントローラは、前モデルのPolarisコントローラよりも動作クロックが向上し、性能が向上しているため、発熱も大きいと思われる。表には示していないが、チップ内部の温度は新モデルも前モデルもほぼ同等なので、新モデルのほうが放熱性に優れるという見方もできるだろう。いずれにしても、ヒートシンクを追加しつつ、ケース内部でファンの風を当てるようにするなど、冷却にはしっかりと対策したほうがよい。

高速SSDとして人気の製品がさらに進化

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    970 PRO(左)、970 EVO(右)

970 PROは、高速SSDとして人気を集めていた960 PROの後継として十分な性能を実現した製品だ。特にシーケンシャルライトとマルチスレッド時のランダムライトの性能向上が大きく、高解像度映像の編集作業などにも適している。書き込み可能容量が960 PROの1.5倍に増加していることも、評価したいポイント。

970 EVOは、比較的手ごろな価格のメインストリーム向け製品だが、条件によっては従来の上位モデル、960 PROと同等のパフォーマンスを叩き出し、コストパフォーマンスは非常に高い。970 EVOも、書き込み可能容量が960 EVOの1.5倍に増加しただけでなく、保証期間が3年から5年に延びており、より安心して使えるようになった。

現在、960 PROや960 EVOを使っているユーザーが970 PROや970 EVOに慌てて交換する必要はないだろうが、M.2 SSD対応マザーボードを用意して新たにPCを組もうと考えているのなら、970 PROや970 EVOは現状でもっともおすすめしたい製品だ。とことん性能重視なら970 PRO、性能とコストの両方を重視するなら970 EVOがぴったりだろう。