LINEは25日、2018年第1四半期連結決算を公表した。売上収益487億3600万円で前年同期比19.9%増となったものの、四半期利益は17億7000万円の赤字だった。前年同期の16億3200万円の黒字から大きく数値を落とした形だ。
なぜ赤字に転落したのか
赤字に転落したのは、戦略事業への投資を加速させたためと見られる。戦略事業として、フィンテックのLINE Pay、AIのClova、コマースのLINE ショッピング、LINE デリマ、LINE FIRENDS、その他事業としてLINEモバイルなどがある。
戦略事業における営業費用は前年同期比2.2倍の132億円と増えており、収益事業となるコア事業の伸びではカバーしきれなかった。細かくは把握できないものの、過去5四半期における戦略事業の営業費用は急増していることが資料からも読み取れる。
対して、コア事業は広告を中心に業績を拡大。広告の売上収益は前年同期比38%増の252億円で全体の半数を占めた。スタンプや着せ替え、ゲーム、マンガ、ミュージック等のコミュニケーションおよびコンテンツの売上収益は175億円で同8.6%減となっている。
LINEの今後は?
LINEの今後については、コア事業の広告の収益拡大と戦略事業の早期収益化が課題となりそうだ。戦略事業においては、LINE証券やLINEテーマ投資、LINE保険などの金融サービスの開始に向けて準備を進めており、各種サービスの展開が収益拡大の可能性を秘めている。また、アナリストを対象にした決算コールでLINEの出澤剛社長は、戦略事業について、いくつかの考えを示している。
LINE Payについては、「アクティブに利用してもらうことを目指している。(普及を図ることで)金融サービスのベースになると認識している。広告事業の効果を上げることも可能。さらなるユーザー拡大に向けていきたい」(出澤社長)としており、投資を継続する考えを示している。
AI事業については、収益化まで時間がかかりそうだ。「(収益化まで)4-5年スパンの投資になる。スマホの次は音声インタフェースの時代、音声、AI領域への投資は重要だと考えている。広告にも貢献する」(同氏)としており、人材の獲得とそれに伴う人件費の増大はやむなしといったところになりそうだ。
なお、LINEの月間アクティブユーザー数は、日本、台湾、タイ、インドネシアの主要4カ国の合計が1億6500万人となり、2017年第4四半期に比べて300万人減少した。日本国内でのユーザー数は増えたものの、インドネシアでのユーザー減が響いた形。アクティブユーザーは収益基盤となるだけに、インドネシアの減少は多少気がかりなところだ。