IIJは4月7日(大阪)と14日(東京)、トークイベント「IIJmio meeting #17」を開催した。毎回多くの参加者を集めるイベントだが、今回は「フルMVNO」の発表直後ということもあって、いつもより注目が集まった感がある。いつになくディープだったイベントの様子をレポートしよう。
IIJが開催するユーザー参加型トークイベント「IIJmio meeting」も、今回で19回目を迎えた。世界的レベルの技術力を持つIIJの技術者と直接交流できるイベントで、参加無料・IIJmioユーザー以外も参加できることから高い人気を誇る(事前登録制)。今回は200名以上の参加があったという。
これだけの注目を集めたのは、やはり先日同社がスタートした「フルMVNO」への関心が高いことが挙げられる。同社はMVNO事業「IIJmio」でも業界トップクラスの会員数や顧客満足度を誇っているが、何よりも日本初の商用ISPを開始し、25年にわたって日本のインターネット環境をリードしてきた高い技術力が評価されている。今回はそんな同社が開始したフルMVNOサービスの情報が期待できるとあって、特にマニアックな聴衆が集まったように思える。
冒頭は「IIJmio Update」と題した、前回(2018年1月)からの3カ月でどのような動きがあったかを紹介するコーナーだが、ここでは4月からIIJmioで発生している通信速度の低下や一部ユーザーの料金請求時のトラブルなどへの説明があった。前件については4月に入ってトラフィックが急増し、予定していた回線強化分では間に合わないという状況であるとのことだった。
この速度低下、外部からのアタックというわけではなく、単にこれまで眠っていたSIMカードが一斉に使い始められたかのような状況だとのこと。残念ながら予算の問題に加え、外部的な要因(重要インフラ工事抑制期間)もあって急な増速は難しく、増速工事は5月半ばまでかかってしまうという。現在速度低下に悩んでいる人はもう少しだけ我慢しなければならないようだ。
また、一部の即時決済型カードで決済している人が、料金請求時に与信するタイミングで、決済のタイミングが早まったり、請求元がIIJ以外(決済会社)になってしまう症状が出ているとのこと。現在サポートセンターが混み合っている模様なので、メールで問い合わせるのが確実とのことである。
また、注目度の高いフルMVNOについては、フルMVNO化というのは「国際的に認められた識別番号を割り当てられ、IIJが独立した移動体通信事業者になる」ということであり、具体的にはSIMを自由に発行できるようになることを意味する、との説明があり、このSIM発行に加えて「SIMライフサイクル管理が可能になる」ことを大きなメリットに挙げた。
SIMのライフサイクル管理とは、使わない期間はSIMを休止させ、その間のコストを大幅に低減できる機能のこと(IIJの場合、法人向けSIMで休止中は基本料金が1月あたり200円→30円になる)。これは訪日外国人向けのプリペイドSIM「JAPAN TRAVEL SIM」でも利用されており、店頭在庫中は休止状態にしておき、アクティベートと同時に復活させることで、これまで在庫にかかっていた月額基本料金(=IIJ側の負担となる)を圧縮できる。これによりSIM自体の値段も下げられるということだ。このほか、夜間などあまり使われていない時間帯をIoTで補うといった収益構造の改善にフルMVNO化が大きく貢献するとのことだった。