17:00ぐらいだったが、すでにできあがっているグループもあれば、一人ポツネンと缶ビールを飲んでいる人も目立った。後者はいわゆる“場所取り役”なのだろう。平成も30年が経ち、働き方改革やパワハラ問題が取りざたされるようになっても、「昭和の風習がまだ残っているのだな」と、何か考えさせられた。
さて、そうしたブルーシートの間をすり抜けていくと、ひときわ豪華な一画が目に入ってきた。ブルーシートではなくカーペットが敷かれ、クッションが多数用意されている。木箱の中には複数のワインボトルが並べられ、バスケットには果物の食品ディスプレイが入っていた。明らかにブルーシートの花見とは異なる雰囲気だ。そこが、大塚食品の花見現場だった。
少し贅沢なレトルトカレーを投入
なぜ、大塚食品はこれほど豪華な一画を作ったのか。ねらいは大きく2つあると感じた。ひとつはブースに数多く展示されていたのが「ボンカレー グラン」という商品であること。ボンカレーといえば、長期にわたり松山容子さんをイメージキャラクターにしていたが、現在は複数の円をモチーフにしたデザインが使われている。だが、ボンカレー グランは、調理イメージと使用素材の写真を前面に押し出す。レギュラー商品の「ボンカレーゴールド」が180円なのに対し、グランは350円だ。
つまり、これまでの商品よりもランクが上、まさしく“グラン”を演出したかったのだろう。近年、アウトドアブームが再燃しているが、グランピング(グラマラスなキャンピング)というスタイルが流行している。ストイックなキャンプではなく、より快適で魅惑的なキャンプを楽しもうというものだ。ボンカレー グランは「grand」から採っているのだろうが、グランピングと方向性は共通している。そのため、グランピングを想起させるような豪華な花見ブースを設営したのだろう。