そしてもうひとつのねらいは、ブースの前に立てられた看板にある。そこには「インスタ撮影Free!」と書かれていた。千鳥ヶ淵の花見客はシートを敷いて1カ所で飲食する人に加え、お堀端を散策しながら花を愛でる人も多い。実際、散策していた人は大塚食品のブースの前で足を止め、スマホで撮影していた。
これになんのねらいがあるのか……。それは情報の拡散にある。実は大塚食品は商品プロモーションの戦略を大きく変えた。2013年からテレビCMを使うのをやめ、SNSや動画サイトによるプロモーションに切り替えたのだ。つまり、今回の花見施策は、ブースや商品を撮影してもらい、それをSNSなどで拡散してもらうというねらいがある。そのためには豪華な設営が必要だったのだ。
お堀端でまさかのクラシック演奏
そして、足を止めてもらうために豪華なブースのほか、もうひとつ仕掛けを打った。クラシック演奏だ。ブースの奥に3重奏の奏者を招き、花見客が増えてきた夕方頃に演奏を行った。
ビバルディの「春」が流れると、近くのシートに陣取っていた花見客から歓声が上がり、散策をしていた人たちは足を止め聴き入っていた。突如流れてきた音楽に聴き入るだけでなく、楽団の撮影をする人も多かった。大塚食品のねらいは当たったといえよう。
最近、食品や飲料などの高級志向が目立っている。ボンカレー グランだけではなく、「グランドキリン」というビールが好調だ。こうした流れは景気回復というよりも、飲食するものぐらいは“プチ贅沢”をしたいという心境の表れだろう。ぜひともボンカレー グランとグランドキリンのコラボを実施してもらい、招待いただけると光栄だ。