製造テストのスケーリング

製品が研究開発の検証から最終製造テストに移行する際は、デバイスのテスト時間を短くして、全体のスループットを最大化することが重要です。設計検証と製造との間で計測を再利用することで、この2つの段階の計測の相互関連付けの労力を減らせるため、ソフトウェアのスケーリングの効率も向上します。デバイス検証段階と同じテストを同じ方法で独自に実施しても、製造段階では通用しません。つまり、テストアプローチはスループットの要求に応えるべく拡張される必要があります。同一なコードの大半は用途の変更が可能であり、変更して使用すべきです。一方で、ソフトウェアスタックの最上位にある抽象化テスト管理ツールも重要です。このツールにより、関連するカスタマイズされたテストすべてを統合的なテストシーケンスに組み込んで、仕様限界に対してより効率よくデバイスを(あるいは同時に複数のデバイスを)テストします。このようなテスト管理を一から作成することは非常に面倒ですが、商用ソリューションを活用すれば、開発に必要な労力を削減し、市場投入までの時間をさらに短縮できます。

TestStandは、すぐに利用できるテスト管理環境であり、製造テストシステムの設計を簡素化するフレームワークです。TestStandは、ほぼすべてのプログラミング言語で書かれたコードモジュールを呼び出すことができ、LabVIEW NXGやLabVIEW 2017のGのほか、C、C#、Pythonなどで書かれたテスト要件を再利用できます。この環境では、レポート、データベースロギング、並列実行のような重要な製造テスト機能の開発を抽象化できるうえ、必要に応じてローレベルでのカスタマイズもできます。

テスト実行システム(テスト対象のすべてのデバイスに共通)からテストコードモジュール(テスト対象のデバイスによって異なることが多い)を切り離すモジュール式ソフトウェアアーキテクチャに従うことで、長期的に開発、サポート、維持の費用を抑える、拡張性と柔軟性を備えたアーキテクチャを手に入れることができます。たとえば、Motorolaの特性解析と製造テストソフトウェアグループは、TestStandとLabVIEWをベースに単一モジュール式テストアプリケーションを標準化したことで、年間の保守および新規製品開発コストを半分以上も削減することができました。

  • TestStandは、テストシステムの総スループット向上に必要なコストと効率の問題を解決する

    図4 TestStandは、テストシステムの総スループット向上に必要なコストと効率の問題を解決する

テスターの導入と保守

大規模なテストシステムのほとんどは、個別の用途向けに設計されておらず、複数のテストサイトまたは製品フロア全体用のソリューションとなっています。テストの開発が完了したあと、必要なすべての依存関係を維持したままテストシーケンスを手作業でデプロイするのは、事業計画的に困難なことです。苦労して20個のテスターを手動でデプロイし終えたあとに、すぐに新しいテストシーケンスの更新が必要になり、小さな変更を20個すべてに加えなければならないことが判明したとしたらどうしますか。あるいは、もしテスターの数が1,000個だったらどうでしょう。

TestStandは、内蔵のデプロイメントユーティリティを使用してこのプロセスを簡素化し、コードモジュールと必要なランタイムドライバ、およびテストシーケンスをデプロイします。また、好みの開発環境を使用して、カスタムオペレータインタフェース(OI)を作成し、テストシーケンスとともにデプロイすることもできます。TestStandでは、ユーザ認証を実装することにより、ソフトウェア設計者によるローレベルでの実行詳細のレベルから、オペレータが実装テストステーションのカスタムOIの実行ボタンをクリックし、合否結果を自動的にディスクへ保存するレベルまで、機能へのアクセス制限を設定することが可能です。

大規模な分散システムに対しては、SystemLinkと呼ばれる新しいNIソフトウェア製品が、大規模なソフトウェアのデプロイメントの調整や、対象全体でのドライババージョンの管理、システム診断の監視を行う上で役立ちます。中央サーバノードは、ネットワーク接続を通じて、分散エンドポイントを安全に管理し、ターゲットシステムへのNIおよび他社製ソフトウェアパッケージの大量配布を容易にするため、システム管理機能に関連する管理上の負担と物流コストが削減されます。

  • SystemLinkは散システムを管理するのに役立つ

    図5 SystemLinkは、中央アプリケーション/Webアプリケーションを使用して分散システムを管理するのに役立つ

ソフトウェアの重要性

どの企業にも製品開発サイクルに固有の特徴があります。多くの企業は、製品の検証を何度も繰り返して、製造を保証する変曲点に到達しますが、その途中で設計と構成を見直すことを余儀なくされていることでしょう。あるいは、一部のスタートアップの場合、製品予測に基づくだけでは、製造テスターの十分なデプロイメントを行うことができないかもしれません。結局のところ、すべての企業の開発サイクルが同じで、毎回その成功率が100%だとしたら、市場はどのようにしてダイナミックな競争を維持できるでしょうか。エレクトロニクスの設計者やメーカーは、製品に突然機能が追加されたり、競争力を維持するために仕様が改善された場合に、常に正常に修正できるツールのプラットフォームを採用する必要があります。もちろん、私たちは製品開発サイクルの早い段階でできる限り先を見越したアクションを取ろうと努力してはいます。しかし、やはり現実的には常に機敏であることが求められているのです。NIはエンジニアとしてすでにこの課題に取り組むことの覚悟を決めています。だからこそ、NIのツールがNI自身のボトルネックになってはいけないのです。

LabVIEW NXG、TestStand、SystemLinkというNIソフトウェアは、テストシステムの構築、デプロイメント、および保守のワークフロー全体で活用いただけます。これらのソフトウェアは、製品の個々の革新にとどまらず、ソフトウェアへの継続的な投資の成果の表れとなっています。ソフトウェア製品とそれに由来する相互運用性という独自の組み合わせにより、NIのプラットフォームは、他のプラットフォームと一線を画しています。最近では、他のベンダもソフトウェアを重視するようになってきましたが、NIは数十年に渡りソフトウェアへの投資を強化してきたのです。ソフトウェアの相互運用性でワークフローを加速しましょう。それがよりスマートなテストへのアプローチです。

著者プロフィール

Michael Keane
National Instruments(NI)。
Product Marketing Engineer