キリン傘下のワインメーカー、メルシャンでもユニークなイベントが行われた。ワインといえば「赤」「白」「ロゼ」がおもな種類だが、赤や白はなじみ深くてもロゼはなかなか飲まないという人は結構いるだろう。特に男性は「ロゼは女性向けのワイン」と思い込んでいる節がある。

  • ロゼという名称や、ピンク色のイメージで女性向けととらわれやすい。写真のボトルは、「悪魔の住む蔵のお酒」で有名な「カッシェロ・デル・ディアブロ」のロゼ

だが、今や世界中でロゼワインの人気が高まり、ここ13年間で30%増の伸びをみせている。日本での人気はさらに顕著で、5年間で約1.3倍の消費量になった。これは料飲店での消費量ということだが、ロゼワインをメニューに加えている飲食店が増えている証だ。ただ、チェーンの居酒屋といったお酒の消費量が多い飲食店では、まだ赤と白のみでロゼはメニューにないというところがほとんど。言い換えると、そうした飲食店が取り扱い始めれば、ロゼの消費量はまだまだ伸びる可能性が高い。

そもそもロゼは、赤ワインと白ワインの製法をミックスさせたもの。赤の複雑な味と白のすっきりした飲み心地が同居している。決して女性向けのワインということではない。

ギョーザとロゼという組み合わせ

メルシャンが行ったメディア向けイベントでも、その一端がみてとれる。このイベントではロゼワインとギョーザを楽しもうというものだった。ギョーザだけではなく、とんぺい焼きや鶏の唐揚げも用意されていた。正直、「ギョーザにロゼ!?」と不意を突かれたが、ある意図が浮き彫りになった。ギョーザもとんぺい焼きも鶏の唐揚げも、どれも男性がおつまみに選ぶことが多い料理だ。

  • ギョーザとロゼ、唐揚げとロゼという、これまでイメージしていなかった取り合わせ

こうした料理とビールという組み合わせは普遍的だが、そのビールをロゼに置き換えてもらおうというねらいが伝わってくる。そして、男性のロゼワインファンの開拓を目指しているといえよう。ちなみに海外ではロゼワインは普通に男性に飲まれている。

イメージ的にはギョーザや唐揚げにはビール、ロゼワインにはチーズやローストビーフというのが一般的だろう。だが、キリンはクラフトビールにチーズやローストビーフ、ロゼワインにギョーザやとんぺい焼き、鶏の唐揚げとクロスさせた提案を行った。食や飲料が多様化するなか、これまでの常識に縛られない組み合わせは、お酒を楽しむ上でポイントになってくると思う。