続いてWH-CH700Nの特徴を、人気モデルのWH-1000XM2と比べながら掘り下げてみましょう。はじめにお断りしておくと、両機は同じソニーのノイズキャンセリング機能付きワイヤレスヘッドホンですが、WH-1000XM2はフラグシップ、WH-CH700Nはスタンダードクラスのモデルです。オーディオ再生の性能や機能については、当然ながらWH-1000XM2のほうが優れている点がたくさんあります。それはもう、フラグシップですから。

ソニーオンラインストアでの販売価格(税別)が39,880円のWH-1000XM2(以下、1000XM2)、18,880円のWH-CH700N(以下、CH700N)という2万円近い価格差からも明らかです。なので、CH700Nが上位機に引けを取っていない部分に、今回はぜひ注目してほしいと思います。

  • ソニー「WH-CH700N」レビュー

    CH700Nのカラーは、ブルー、ブラック、グレー

Bluetoothワイヤレス再生

まずオーディオ性能について。Bluetoothワイヤレス再生時、1000XM2はソニー独自の高音質コーデック「LDAC」に対応しています。96kHz/24bit相当、「ハイレゾなみ」のいい音がワイヤレスでも楽しめるのがウリです。CH700Nは、LDACには対応していません。

CH700Nは、クアルコムの高音質コーデック「aptX HD」をサポートしています(もちろん1000XM2も対応)。48kHz/24bit相当ですが、ハイレゾに迫る濃密な情報量をBluetoothの技術を使って伝送できるのが特徴です。CDからのリッピング音源やSpotifyなど音楽配信サービスの音源でも、一般的なSBCコーデックで聴いた場合と比べて、より艶やかでキメ細かな音が実感できると思います。

  • ソニー「WH-CH700N」レビュー

    金属製の強固なスライダーを採用。パーツのクオリティにもこだわってますね

ワイヤード(有線)接続

有線リスニングの場合、1000XM2はハイレゾ対応のヘッドホンになります。さすがフラグシップモデルの矜持ですが、もしハイレゾ用には別途お気に入りのヘッドホンやイヤホンを持っているというユーザーは、ノイキャン+ワイヤレスのスタイルを楽しむ用として、CH700Nを選ぶ手もアリかと思います。

  • ソニー「WH-CH700N」レビュー

    有線接続でもバランスのよいサウンドは変わらず。飛行機内でスマホに保存した動画コンテンツを楽しむとき、有線接続に切り替えられるので便利

ノイキャン仕様

ノイズキャンセリング機能は、1000XM2がハウジングの内側と外側の両方に集音用マイクを乗せたフィードフォワード・フィードバックの「ハイブリッド方式」なのに対して、CH700Nはハウジングの外側だけにマイクを搭載するフィードフォワード専用機です。だからといってノイズキャンセリングの精度が劣っているわけではなく、各製品のコンセプトに応じて、最適な機能を選択した結果と受け止めるべきでしょう。

  • ソニー「WH-CH700N」レビュー

    イヤーカップの側面にNCボタン、ヘッドホンケーブルとUSBケーブルの入力端子が配置されています

CH700Nにとって先代モデルとなる「MDR-ZX770BN」でも採用されていた「AIノイズキャンセリング機能」は健在。左イヤーカップ側面のNCボタンを押すと、プリセットされている3種類のモードから、環境に合わせて最適な消音効果を自動的に選んで、心地よいリスニング環境に整えてくれます。

1000XM2のように、スマホアプリがユーザーの行動を解析してノイキャンのバランスを自動で切り替える「アダプティブサウンドコントロール」は非搭載です。でも、環境に合わせてノイキャンを使いこなすというコンセプトは、CH700Nのほうがよりシンプルに理解できるかもしれません。

スマホの操作

ペアリングしたスマホのリモコン操作は、本体イヤーカップの側面ボタンから行います。1000XM2が搭載するタッチセンサーリモコンや、音楽を再生しながら外音を取り込める「アンビエントサウンドモード」は、CH700Nにはありません。価格差を考えれば仕方ないところでしょう。

  • ソニー「WH-CH700N」レビュー

    音楽再生やハンズフリー通話のリモコン操作も、イヤーカップのボタンからすべて可能

本体の構造

本体のメカニカルな構造ですが、1000XM2はヒンジも折りたたんでコンパクトにまとまるコラプシブル設計。CH700Nは、イヤーカップを回転させてフラットな形状にできるところまで。本体の重さはCH700Nが35gほど軽く、持ち歩きに負担感はありません。残念なのは、付属品にポーチがないこと。バッグの中で本体を傷つけないように、購入後にはキャリングポーチは自前で用意したほうがよいでしょう。

  • ソニー「WH-CH700N」レビュー

    イヤーパッドはクッション性十分。ここからイヤーカップをさらに内側に折れる3Dコラプシブル設計なら、なおよかったのですが

スタミナ

フルチャージからの最長連続音楽再生は、CH700Nのほうが5時間ほど長く35時間を実現。飛行機の旅は往復ぶっ続けでも安心なほどです。商品パッケージに航空機変換プラグが付いてこないので、必要に応じて別途そろえておきましょう。まだまだ、3.5mmデュアルタイプのジャックを搭載している飛行機はたくさんあります。