新しいレースはどうなる?
――新しいレースについては、どのような要望を出したのでしょうか。
袴田:もし新しいレースをやるのであれば、ルール作りから関わらせて欲しいと伝えました。我々の希望は、レースの難易度を下げないことです。GLXPを簡単にするのではなく、何か面白い観点を追加して欲しいと考えています。
――GLXPも決して簡単なレースではありませんが、さらに難しくですか。
袴田:我々は、賞金を獲得すること自体が目的ではありません。賞金レースというイベントをきっかけに、多くの人に興味を持ってもらい、月面探査を加速することが目的なのです。もし新レースがGLXPのダウングレードになれば、関心を持ってはもらえないでしょう。それではやる意味がありません。
秋元:GLXPを立ち上げた10年前とは環境が違います。今は、宇宙分野でも民間企業が活躍するのが当たり前。そういう環境の中で、新レースではどこを目指すのか。GLXPの達成基準よりは1段階上がるだろうし、逆に上げないと成立しないでしょう。
ただ、財団も今度やるときは勝者を出したいだろうし、それでいてチャレンジングなレースにもしたい。ルールを決めるのは、かなり大変な作業になるかもしれません。
――個人的には"Lunar Hole XPRIZE"が見たいです(笑)
袴田:世界初の縦孔探査は面白いアイデアだと思います。レースのルールは財団が決めることですが、今後の月面探査・月面開発の潮流を考えたときに、一番価値があるレースになって欲しいですね。
袴田:レースの期間はどうなるかまだ全く分かりませんが、数年程度になる可能性もあります。我々は今のところ、最も早く月面へ行ける道を探していますが、ispace(HAKUTOの運営企業)独自の月探査ミッションを2019年末頃と2020年末頃に実施する予定なので、そこまでレースが続くのであれば、ちょうど参加できて嬉しいです。
――新レースはいつころ決まりそうですか?
秋元:まだしばらくは時間がかかると思います。新しいレースを立ち上げるのは、簡単なことではありません。XPRIZEは基本的に、スポンサーを見つけて、その名前を冠したレースになっています。これだと新しいスポンサーを探す必要もあり、どうしても時間がかかるでしょう。
ほかのチームともコンタクトは取っていますが、みんな継続に前向きです。HAKUTOもそうですが、結局我々参加チームは、GLXPのために月面に行こうと思ったのでは無く、月面に行きたかったからGLXPを始めたんですよね。GLXPが終わったとしても、目的は何も変わりません。