AIチップセットの活用はまだ道半ば

そしてもう1つ、新たなトレンドとしていくつかのメーカーが打ち出しているのが「AI」である。昨年のiPhone Xや、ファーウェイの「HUAWEI Mate10」で採用が進んだAIだが、今年に入ってからはクアルコムが、AI処理に長けたチップセット「Snapdragon 845」などを提供するようになったことから、より多くのメーカーがAI技術を取り入れるようになってきた。

中でもAIを強く打ち出しているのがZenFone 5である。ZenFone 5はAIを活用した6つの機能が搭載されており、例えば「AIカメラ」では被写体から16のシーンを自動で判別し、最適な撮影ができるよう設定を変更してくれる仕組みを備える。またLGの「LG V30S ThinQ」の2018年モデルも同様に、AIを活用して被写体からシーンを判別し、最適な写真が撮影できる「Vision AI」を備えている。

  • ZenFone 5のAIカメラ。被写体からシーンを自動的に判別し、最適な撮影ができるよう設定を変更してくれる

だがAIの活用に関しては、まだ途上という印象が強いのも事実。iPhone XのFace IDのように、AIによる学習を効果的に活用した機能はまだあまり見ることができないというのが、正直な所だ。

各メーカーともAIをうたってはいるものの、活用すればよいか悩んでいるという印象であり、AIを効果的に活用するためライバルの事例を探っているようにも見える。それだけに、AIを本格活用してスマートフォンが進化するには、まだ時間がかかりそうだ。

とはいえ、先に触れたディスプレイとカメラ、そしてAIが、今後のスマートフォンの進化をけん引する存在となっていくことは間違いないだろう。Mobile World Congressの各社の動向から見えてきた3つの要素で、スマートフォンが今後どのような進化を遂げていくのかが大いに注目される。