HomePodの設定は、iPhoneの情報を流用する。そのため、HomePod向けに、設定画面でApple IDを入力したり、Wi-Fiのパスワードを入力する必要はなく、iPhoneの情報をそのまま使ってセットアップされる。

  • iPhoneが情報をそのまま利用されてセットアップは終わる

HomePodはApple IDで紐づけられApple Musicが再生できるようになり、セットアップ直後に早速「Hey Siri, play some music」と言うよう促される。そうHomePodに話しかけると、自分のApple Musicの好みのプロファイルが反映された「ラジオ」の再生が始まる。

そこで「なるほど」と気付いたことがあった。

それは、「スマート○○」と謳われる音声アシスタント搭載のスピーカーを、ついついスマートフォンと同じように、常に触れて生活の役に立つものと捉えてしまっていたが、スマートスピーカーはそういった対象ではない、ということだ。そしてAppleはHomePodを、スマートスピーカーとしてあるべき存在に仕上げたことだ。

もちろんHomePodに「play some jazz」「play Mozart」と指示すれば、特定のジャンルやアーティストの楽曲を再生することはできる。プレイリストを指定しても良いだろう。ただ、もっと気軽に活用してほしい、とAppleは考えているのではないだろうか。

前述の自分専用のラジオは、Apple Musicを利用している中で、つけていった楽曲の「ラブ」をもとに、好みの情報を組み立てて、それらに当てはまる楽曲を並べてくれる。そこで最高の選曲をしてくれることが、AppleがHomePodで提供しようとしている音楽体験なのだ。

パーソナルなデバイスであるiPhoneで音楽を聴く場合、手元に常に画面があり、好みの楽曲を自分で探して掘り下げることも容易だ。しかしHomePodには画面がない。そこに視線を注ぐ対象でもない。ただそこにあり、気軽に指示を与えて放っておく、そういうデバイスがHomePodなのだ。