ABEJA(アベジャ)は、武蔵精密工業と協業し、ディープラーニング技術を活用して、武蔵精密工業が製造する四輪車用の部品であるベベルギヤの画像データを解析し完成品の自動検品を行う実証実験を2017年6月〜10月に実施したと発表した。

  • 検品の自動化概略図

    検品の自動化概略図

同実証実験では、武蔵精密工業が製造する四輪車用部品、ベベルギヤの画像データをディープラーニング技術により解析し、不良品を検出する学習済みモデルの構築が実施された。同社製のベベルギヤは、精密鍛造技術で製造されるため不良品の割合が非常に低いが、目視による検品工程の自動化が課題となっていた。そこで、画像解析に高い精度を持つディープラーニング技術を活用し、不良品データが著しく少ない状況でも不良品を確実に検出できるよう、対象物をカメラで的確にとらえデータを取得するための環境を構築し、「AutoEncoder(オートエンコーダ)」をはじめとした複数の手法を組み合わせ、良品データのみから不良品を判断する方法を確立、モデルの精度向上に努めたという。

その結果、約4ヶ月間の実証実験で、人が目視で行う検品と同程度の精度をもつ学習済みモデルの構築が実現した。今後は、同モデルの調整を引き続き行い精度を高め、ディープラーニング技術で大量データの取得・学習・解析・フィードバックなどを行う「ABEJA Platform」の継続的なインテグレーション(モデルの再学習や更新)と監視機能を用いて2018年度には試験的な運用に移行する予定となっている。なお、同実証実験における、データの蓄積、アノテーション、教師データの作成、学習済みモデルの構築と精度検証などの一連の工程も「ABEJA Platform」上で実行しているということだ。

ABEJAは、引き続きモノづくりを行う企業と連携し、ディープラーニング技術の活用により製造業におけるバリューチェーンの構造変革を促進し、製造業界における第4次産業革命の加速に貢献していくという。また、エコシステムのパートナー各社と連携し、「ABEJA Platform」を普及させてAI技術を活用することにより、多様な業界、シーンにおけるビジネスの効率化・自動化を促進していくということだ。