東京都市部で始めなかった理由

ビジネス面を見れば人口が多い東京都心部が最適だ。でも東京都心部を選ばなかった。その理由は、事業の規模感が福岡市よりも何倍も大きくなってしまうことにある。この部分がメルチャリ事業の現在の位置づけとも関わる。

松本代表に話を伺うと端々に出てくるのが「実証」といった言葉。福岡市でのサービスには実証実験の意味合いが多分にあり、小さすぎず大きすぎずのエリアで仮説を検証していきたいというのだ。

では何を試すのか。それはメルチャリの本質となる「個人参加型のサービスが成立するか否か」である。

  • 足りない部分を個人の力で補うという考え

シェアサイクルでは違法駐輪や放置自転車が問題となる。運営を悩ますこの問題にメルチャリは個人参加型の仕組みで対処できるかを検証する。

その仕組みとは次のようなもの。違法駐輪の自転車を発見したら、メルチャリユーザーが所定の場所まで持っていく、協力者は15分無料で自転車の利用が可能となったり、マイルが付与される。マイルは一定に達したら、メルカリポイントへの交換もしくは、メルチャリオリジナルグッズにかえることができる。故障車の発見・報告なども含め、運営の負担を減らすアクションをユーザーに肩代わりしてもらおうというわけだ。

もうひとつが個人宅や店舗の軒先などのスペースを駐輪ポートとして活用できるか、である。メルチャリの描くシェアサイクルの姿として、自宅のスペースに置かれたシェアサイクルを使って駅まで移動したり、帰宅したりするというものがある。街中だけでなく、住宅街からも気軽にシェアサイクルで移動できる未来が来るかもしれないのだ。こうした未来の実現のために、メルチャリでは駐輪ポートの提供を呼びかけている。