島津製作所は、ミクロ流量対応の液体クロマトグラフ質量分析計システム「Nexera Mikros」を発売する。同製品は、従来の液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)システムの堅牢性や操作性を保ちつつ、10倍以上の高感度を実現している。価格は4,100万円〜(税別、価格はシステム構成による)。

  • Nexera Mikrosシステム

    Nexera Mikrosシステム

「Nexera Mikros」は、セミミクロ流量(100µL/min~500µL/min)からミクロ流量(1µL/min~10µL/min.)までの幅広い流量範囲に対応した液体クロマトグラフ質量分析計システム。従来、血中のごく微量成分を分析する場合は、対象成分の質量分析計への取り込み効率が向上するナノ流量対応のLC-MSシステムを用いてきたが、同システムは、配管が詰まりやすい、液漏れの発見が困難、1試料当たりの分析に数時間必要など、操作性や処理スピードに課題があった。そこで「Nexera Mikros」では、安定したミクロ流量での送液を可能にした新制御方式の送液ポンプ「LC-Mikros」と、位置や角度を最適化したイオン化インタフェースにより、堅牢性と操作性を両立しながら、従来のLC-MSシステムと比べて10倍以上の高感度を実現した。

また、配管接続部の微小な空隙(デッドボリューム)は、試料中成分の拡散に影響するため、感度低下の要因になるが、新たに開発された分析カラムと質量分析計との接続機構「UF-Link」は、感度低下を抑えるとともに、分析カラムと分析計のイオン化インタフェースをワンタッチで接続できる。また、同機構は一般的に使用される分析カラムとイオン化インターフェイスとの接続にも対応しており、測定対象の試料に合わせた分析カラムが選択できるようになっている。

さらに、送液ポンプ「LC-Mikros」は、ミクロ流量からセミミクロ流量まで、幅広い流量範囲での送液が可能となっている。これまでのLC-MSシステムと同等の分析とミクロ流量での高感度分析の両方を1台で行えるため、装置の稼働率向上と研究開発期間の短縮が可能だということだ。