京都大学(京大)は、珪藻大量培養パイロットプラントを下水処理施設「大的析水苑」の一画に設計・完成したと発表した。

  • 珪藻を軸にした再生可能物質生産に基づく低炭素社会(出所:京大Webサイト)

同成果は、兵庫県立大学大学院生命理学研究科の菓子野康浩 准教授、京都大大学院生命科学研究科の伊福健太郎 助教らの研究グループによるもの。

微細藻類は、陸上作物よりも単位面積当たりの燃料生産性が高いことから、次世代の持続可能エネルギー生産生物として期待されており、同時に温室効果ガスである二酸化炭素を低減させる高い効果も期待できる。その中でも、珪藻は地球上の光合成の約25％を担っており、再生可能資源生物としてポテンシャルが高いと言える。

しかし、微細藻類を産業的に利用するためには、培養コストが高い、超大型培養系における培養条件が確立していない、形質転換微細藻類を野外解放系で大量に培養した時の拡散防止措置などの手立てが確立していないという問題が残されている。このような問題を解決するためには、微細藻類の光合成機能や細胞内生理を理解するという基礎科学的研究と合わせ、パイロットプラントを用いた実地試験が欠かせない。

今後、この実証パイロットプラントにおいて、下水に含まれる窒素分などを珪藻培養の栄養塩(肥料)として利用することにより、培養コストを大幅に下げて現実的コストで燃料、医薬品原料、養殖用餌料などを生産する仕組みが確立される予定だとしている。