サポートセンターにつながりやすい時間帯は?
続いてIIJのサポートを担当している周玟(ぶん)希さんから「みおふぉん教室:ご新規入会時の役立つ情報」として、IIJmioの基本情報と新規入会時の事例などについて紹介があった。
新規入会時の契約参考例では学生、主婦などの5パターンで推奨プランを紹介。すでにMVNOを活用しているなどリテラシーの高いユーザーには「何を今更」な内容かもしれないが、あまり詳しくない人にとっては、実際にデータ容量がどれくらい必要かなどはなかなか把握できないため、いい参考になるだろう。
2月からは子供向けスマホのフィルターが義務化
続いて、再び堂前氏より「MVNOの法令遵守と「青少年インターネット環境整備法」改正」と題し、MVNOを取り巻く法環境と、青少年に関する法規制についての話題が語られた。
MVNOが関連する法令としては「電気通信事業法」「電波法」「携帯電話不正利用防止法」「景品表示法」などがあり、不当廉売や携帯電話を悪用した犯罪防止など、さまざまな規制がかけられている。こうした法令の中に「青少年インターネット環境整備法」があり、未成年の携帯電話利用に関して、いわゆるフィルタリングソフトの適用を義務付けている。
この法令が施行された背景としては、2007〜2008年前後のケータイやネットを使った殺人事件(いわゆる「闇サイト殺人事件」や「秋葉原無差別殺傷事件」など)をはじめとする虐めなどのトラブルの増加だ。こうした事態に対して国会・政府でも対策を求める声が高まり、検討会が開催されている。これに対してキャリア側が連名でフィルタリングの導入を発表し、2008年4月に「有限責任中間法人モバイルコンテンツ審査・運用監視機構」(EMA)が設立。現在はEMAが認定した「青少年被害防止の対策を実施したサイト」と、フィルタリングアプリの事業者が巡回してカテゴリ分けしたサイトのデータベースを元にキャリアがフィルタリングを実施するというスタイルになっている。
ところがガラケーの頃は回線そのものにフィルタリングすることで解決していたものが、スマートフォンではアプリ形式でのフィルタリングとなっているため、フィルタリングの実施率が下がっている。回線の場合はキャリアが操作できていたが、アプリ形式の場合はキャリア側から操作することができず、スマートフォンの利用者はその保護者がフィルタリングを有効化する必要があるためだ。アプリ方式にはWi-Fiもカバーできるといったメリットもあるのだが、わざわざ設定する手間を惜しむ(あるいはやり方がわからない)ユーザーもかなり多いということだろう。
こうした状況を踏まえ、「青少年インターネット環境整備法」が昨年6月に改正され、今年2月1日から施行される見込みとなっている。この改正法でのポイントは、「契約時にセットで販売される携帯電話端末について」、これまで「契約者の年齢確認」だけでよかったものが「契約者と利用者の年齢確認義務」となったこと、キャリアから利用者へ、フィルタリングサービスの必要性と内容の説明が義務化されたこと、そして利用者によるフィルタリングの有効化が義務化されたことだ。つまり契約と同時に端末も購入する場合は、キャリアはその端末の実際の利用者を確認し、フィルタリングソフトの有効性を説明し、フィルタリングサービスそのものを提供し、利用者が未成年の場合はフィルタリングソフトをインストールし、設定し、有効化してもらわねばならない、ということだ。
ちなみに今回の改正では、端末メーカーだけでなくOS側にも努力義務が課されている。AndroidもiOSも、今後日本で販売する以上、ペアレンタルコントロールをよりわかりやすい導線で実施できるような実装に改善する必要があるということだ。
この改正案について、堂前氏は、MVNOの場合、端末とSIMが別売りだったり、通信販売で購入する人が多いなど、キャリア側が義務を果たすのが難しい状況であることを指摘。IIJでは利用規約で未成年の利用者の自己申告や、フィルタリングの設定完了報告を義務づけるなどして法律の厳密な実施を試みるとした。
ただし、いくら法が改正されても、保護者がフィルタリングを安易に解除してしまうようでは何の意味もない。未成年者にスマートフォンを与えている家庭ではフィルタリングの徹底化や設定の見直し(ホワイトリストの利用など)を行い、同法の精神が正しく実行されるように努力する必要があるだろう。